【 玉置妙憂×辛酸なめ子特別対談(2)】家族に囲まれた最期は本当に幸せなのか
と言っていた。それは、私たちがすごく失礼だったと思うんです」
辛酸「一説によるとひとりで亡くなる方のほうが早く成仏できるとか」
玉置「『逝かないで』と現世に引き留める人がいないからでしょうか?」
辛酸「そんなことを聞いたことがあります」
玉置「そう言われると、そうかもしれない。このように、私は『コロナで看取りに立ち会えなくなった』ということも事実なんですけど、反面、コロナで『看取りの方法が多様化した』とも言えると思うんです。ですから、いろいろ難しい問題はあるのですが、それぞれの人がそれぞれのいいと思うものをもう一回見つけ直してくださいという機会でもあるのではないでしょうか。自分にとっていいもの、ベストなものを見つけたら、人と比べてねたむことは減ると思うんです。これを本の中では『自分の軸を持つ』と説明しているのですが。」
辛酸「コロナという災厄を通して、多様な価値観があることに気づければ、自分の軸を持つ第一歩になるのかもしれません」
【プロフィール】
玉置妙憂(たまおきみょうゆう)
看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)