2021年3月29日 11:00
ヤングケアラーの孤独救う支援団体「自分守るため逃げてもいい」
だから、私たちの集まりでは必ず『あなたはどう思う?』と尋ねます。すると、『えっ、私が思うことですか』と戸惑う。そこから、この問題解決にいちばん大切な対話が始まるんです」
現在、このかたり場の担当スタッフの中澤安由美さん(26)は、ダウン症の妹を持ち、かつては「きょうだいの集い」の参加者だった。
「私自身、当初は、こうした集まりに暗いイメージを抱いていました。素直に気持ちを出せたというのは、持田さんが元は同じ立場だったことが大きいと思います。英語も堪能、ITにも強いキャリアウーマンの典型のような持田さんが、イベントや講演の前には『本当に気持ちが伝わるかな』といつも真剣に悩んでいる。そんな姿に、みんな、共感しています」
コロナ禍の今、施設にいる兄とは会えない日が続くが、落ち着いたらまた再会できることを、持田さんは楽しみにしている。
「家族のケアに奮闘する人に対して、まわりは簡単に言う。
『そんなに無理することないよ』と。で、ケアラーは思うんです。じゃ、誰がケアするの?そして怒りが湧いてきて、次に押し寄せるのが深い孤独です。特に最近、10代からのリクエストもあって、そんな人たちの居場所を作りたい。