伊藤かずえ“80年代カルチャー”と歩んできた若手女優時代
以降、次々と出演することになる大映ドラマの反響はかなり大きかった。
「当時、アイドルはデパートの屋上広場などで歌う“営業”が多くて、全国を回っていました。アイドルとしては無名でしたが、大映ドラマを見た人が会場に集まるようになって。池袋のサンシャイン広場で営業したときは、スタッフさんから『中森明菜さんが来たときと同じくらい、人が集まりました』って驚かれました」
それほど大映ドラマは、’80年代カルチャーの代表格だ。
「大きな特徴は、演出やセリフ、話の展開が突拍子もなく、劇画チックなところ。たとえば『不良少女とよばれて』では、ケンカをするシーンで『生き残ったほうが、くたばった奴の骨壺を蹴飛ばすまでさ』なんていうセリフも。“十代の女の子が言う!?”って思うけど、すっごいセンスですよね(笑)」
伊藤さんといえば、『スクール☆ウォーズ』(’84〜’85年・TBS系)で「馬上から失礼します」と馬に乗って登場するシーンも伝説的だ。
「実話に基づいた作品なのに、私の役だけが架空の人物なんで、脚本家さんが私で遊んでいました」
撮影に追われた日々、唯一の息抜きとなり、ストレスを発散させてくれたのが、ハリウッド映画だったという。