18歳が直面した差別「“話せばわかる”の思い砕いたヘイトデモ」
そのうち最もひどい前出の投稿が「写楽」と名乗る匿名ブログによるものだった。
「新聞に載ったのをうれしいなと思ったら、突然、差別的な書き込みが……。ショックもありましたが、怒りがこみ上げてきました」
■生活圏に突如やってきたヘイトデモ
もともと差別とは無縁に生きてきたという寧生さん。
「小さいころからオモニや家族に“2つのルーツがあるというのはとても素晴らしいことだよ”と教えられて育ってきました。友達や周囲の人から差別されたこともなかったんです」
江以子さんはこう教えてくれた。
「私たちが住む川崎市の桜本地域は、昔から地域の人たちと多文化共生の街づくりをしてきたという歴史があります。私も、差別をなくしともに生きる社会づくりを目指す『ふれあい館』の職員として、そうした環境づくりのために努力してきました」
自分の育った素晴らしい環境が、母を含む周囲の人たちの力によって維持されてきたものだったことに寧生さんが気づいたのは2015年。桜本にヘイトスピーチデモがやってきたときだった。
寧生さんは自ら希望して、江以子さんとともに抗議のために街頭に立った。
「ずっと桜本に住んでいたので、世の中の人はみんな桜本にいる人たちみたいだと思っていたんです。