18歳が直面した差別「“話せばわかる”の思い砕いたヘイトデモ」
『僕たちはともに暮らしている仲間です』と、話せばわかってくれると……」
だが、まだ中学生に上がったばかりの寧生さんに浴びせられたのは衝撃的な言葉だった。
〈朝鮮人を殺せ〉
〈朝鮮人は死ね、国に帰れ〉
「今まで言われたことがないような罵声を浴びて、『え!』と思った。今まで生きてきた中でいちばん嫌な時間でした」(寧生さん)
■「お前を見ているぞ」ネット上での脅迫が始まった
一方的に“自分たちを殺す”と言ってくる者に話は通じなかった。桜本のヘイトデモをきっかけに、江以子さんはヘイトスピーチを止めるための法律や条例の制定に向けて動き出す。
「ふれあい館では『ちがいは豊かさだ』と子どもたちに伝えてきました。在日コリアンの子には、自分の名前、本名で生きること、ちがいを隠さないで生きることを、後押ししてきたのです。でも、あんなヘイトスピーチや差別があったら、そんなふうに生きられないですよね。だから、自分がしてきたことの延長として、子どもたちのためにヘイトと闘うしかなかった」
江以子さんはメディアで訴え、参考人として国会にも立った。
すると、誹謗中傷や脅迫が始まった。
「毎週末、『おまえを見ているぞ』と、監視しているかのようなことをツイッターに書き込む人物も。