18歳が直面した差別「“話せばわかる”の思い砕いたヘイトデモ」
寧生さんは、改めて裁判の場で訴える覚悟を決めた。
ブログの主は大分市の68歳男性だった。男性は一度も裁判に出席せず、横浜地方裁判所川崎支部は男性に91万円の支払いを命じる判決を下した。だが、あえて寧生さんは控訴した。
「すべて弁護士に任せて、裁判に出てこないのは、まったく反省がないのだと思ったからです」
今年2月、裁判の場に立った寧生さんは、涙ながらにこう訴えた。
「僕は悪性外来寄生生物種ではなく、人もどきではなく、中身ももろ醜いチョーセン人ではなく、家族に愛されて、家族を大切に思い生きる人間です」
結局、ブログの主は裁判に現れることはなかったが、5月12日に東京高裁が下した判決で賠償金は130万円に増額された。この種の裁判では異例の賠償額だ。
人種差別は人格権侵害で、それ自体が独立して違法なものと判断できる画期的な判決だった。
判決が下ったとき、寧生さんは大学1年生になっていた。