くらし情報『18歳が直面した差別「“話せばわかる”の思い砕いたヘイトデモ」』

18歳が直面した差別「“話せばわかる”の思い砕いたヘイトデモ」

警察に相談したら、家の表札を外す、電話の電源を抜く、インターフォンが鳴っても出ない、子どもと一緒に外を歩くことも控えるようにとアドバイスを受けました」

寧生さんも振り返る。

「弟はまだ幼かったので、なんとか守らないとって。お祭りのときもオモニと離れて歩いたり、映画は父と一緒でオモニだけは留守番だったり。ヘイトは、家族の大切な時間まで奪ってしまうんです」

それでも江以子さんは弱音を吐かず、差別解消のために矢面に立ち続けた。

■最後まで法廷から逃げた68歳の差別ブログの主

しかし、息子がヘイトスピーチの対象になったとき、初めて母は弱気を見せた。「写楽」の書き込みを侮辱罪で告訴するため、警察で調書を作成した。投稿によってもたらされた不安や絶望を、肩をふるわせて泣きながら話した寧生さん。その様子を見た江以子さんは、帰り道、思わずこう漏らした。
「私が朝鮮人だからこんな思いをさせてしまってごめんね」

寧生さんはこう振り返る。

「すごくショックで何もいえませんでした。今まで『異なるルーツを持つことは豊かなことだ』と教えてくれていましたから……」

“オモニにもうこんな言葉を言わせたくない”。

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