2021年12月18日 06:00
『地球の歩き方』40年編集者の“作り方”伝説「中国に自由旅行がなかった頃…」
その日もそうした感じで、“チョビヒゲ”のおじさんに話しかけられたんです。すると『野宿するくらいなら、僕がとってるホテルの部屋の床で寝たら?』と言ってもらえたので、ホイホイついて行っちゃって(笑)。今だったら危ないかもしれませんが、このときについて行った人こそが『地球の歩き方』を立ち上げた初代カリスマ編集長だったんですよ。
泊めてもらった夜にパブでおごってもらいながら、旅の話や編集室の話をふんふん聞いて。翌朝、別れ際にはなんと1万円をポンとくれたんです。なんていい人なんだと思いましたね。
『日本に帰ったら編集室においでよ』の言葉を鵜呑みに、お礼がてら訪ねたのが人生のターニングポイントとなりました」
■「ないよ=没有(メイヨー)」は絶対に忘れられない言葉
その後、「オーストラリア&ニュージーランド編」「中国自由旅行編」「東南アジアA タイ編」「ビルマ編」「シンガポール編」「バリ島編」など、数々のシリーズの初版に関わることとなった伊藤さん。そのなかでも特に印象深いエピソードについて尋ねた。
「最初の頃の『地球の歩き方』冒頭には、“はじめに”と題された読者に旅立ちを呼びかけるページがありました。