2021年12月18日 06:00
『地球の歩き方』40年編集者の“作り方”伝説「中国に自由旅行がなかった頃…」
そのページがとても好きで、初めてメインで担当した『南太平洋編』で書かせてもらえたときにすごく嬉しかったのを覚えています。
少しポエミーなんですが、旅人から旅人へのバトンといった感じの内容で、今あらためて読んでもおもしろいなと。このページが特に印象的な『インド・ネパール編』初版は、復刻版として3年前にデジタルブックで発行しています。
あとは『中国編』も思い入れがありますね。
初版発行時の80年代前半の中国って、日本からはすべての旅程がきっちりと決まったパッケージツアーでしか行けないといわれていました。でも香港でビザを取得すれば、好きに旅ができるとわかり、実際に中国の町を自分たちで歩き、取材して本を作り上げました。それで初版は“中国自由旅行”と銘打ってあるんですよ。当時はビザだけで訪問できるのが29都市だけ。
わざわざ許可証を取ってそれ以外の町まで足を伸ばしました。私たちが地元の人たちにとって初めて見る観光客になっちゃうこともあって。ぞろぞろ後ろに列ができたこともありました。
くわえて、今と大きく事情が違うのが経済活動ですよね。共産主義が全盛でしたから、彼らは働いても働かなくてもお給料は同じ。