渡辺裕之さん「思うような演技できない」コロナ禍で漏らしていた“完璧主義の苦悩”
で、こう話している。
「(仕事がなくて)本当に落ち込んでいました。そのときは努めて元気にしている妻に影響されて助けられました」
渡辺さんは“完璧主義”なだけに、人より悩んでしまったのだろうか。前出の松下さんは、
「サイン1枚書くのにも、自分で毛筆を用意して、30分もかけて絵を描くように仕上げるんです。何をするにも“いいかげん”にはできない。私が『そんなに完璧にしなくても、いまの(演技で)最高じゃないですか』などと言っても、絶対に納得しませんでした。
趣味のゴルフにしても、3年ほど前に肩を痛めて、スコアも飛距離も伸びなかったそうなので、楽しめなかったのかもしれません」
コロナ禍に加えて、66歳という年齢の影響もあったのではないか、と語るのは精神科医の香山リカさん。
「一般的に言えば、60代後半は初老期のうつ症状が出やすい年齢でもあります。
特に渡辺さんは、明るくタフなイメージを保ち続けていた俳優さんでした。トレーニングルームで発見されたとのことですが、肉体を維持したいという気持ちもあったでしょう。
それが70歳へ近づいていくうち、理想とする若々しさと、現実の自分の体力とのギャップを感じ、苦しまれていたのかもしれません」