2022年9月18日 06:00
80歳のスパイス屋さんが語る「老老介護でも夫婦円満」スパイスのある暮らし
だが、60代も後半を迎えるとーー。
「だんだん疲れやすくなり、脊柱管狭窄症で足腰もきつくなってきました。仕事のしすぎで過呼吸になったことも。
『これまでよう頑張ったけん、これくらいでいいだろう』と進夫さんにも言われて」
“引退”を考えるようになった武子さんだったが、思いもかけない提案が舞い込んでくる。
「もったいない。やめないで。武ちゃんのカレーやハンバーグ、こんなにおいしいのは、ほかにない」
姪っ子の荻野みどりさんが、そう引き留めたのだ。武子さんのスパイス料理を幼いころから食べて育ったみどりさんは、東京で食品会社を起業。
ココナツオイルの販売で業績を伸ばし、「次は地元・久留米のために何かしたい」と考えていたところだった。
「お店をつくろう。スタッフを雇って、武ちゃんは主宰者でいればいい。スパイス店を開いて、人を元気づける武ちゃんの話を、若い人にも聞かせたい」と、みどりさん。進夫さんにも「武ちゃんと一緒につくりあげてきたものがなくなるのは寂しいでしょ?世の中には武ちゃんのスパイスを欲しがっている人や、まだ知らない人がいっぱいいるんだよ」と訴えた。
「みどりの説得に、頑固な進夫さんも『しょんなかたい(しょうがない)