文学賞より売れると評判の“新井賞”創設の書店員 39歳でストリッパーデビューした理由
当時、カリスマ書店員という言葉も流行って取材も多かったから、ここで私が賞を作れば、もっと売ることができるのではと。当時、契約社員でしたが、会社も信頼して自由にやらせてもらえました」
芥川賞・直木賞と同じタイミングで年2回発表される新井賞は信頼度も高く、やがて「本家の賞よりも売れる」と業界で噂されるほどに。ちなみに第1回の受賞作は千早茜さんの『男ともだち』で、その後も、辻村深月さんや三浦しをんさんらが受賞している。
17年には、初めての著書『探してるものはそう遠くはないのかもしれない』(秀和システム)を出版し、エッセイストの肩書も加わり、二足のわらじ生活へ。
こうして多忙ながら充実した生活を送っていた18年6月、知人の直木賞作家で新井賞受賞者でもある桜木紫乃さんからメールが届く。
〈見枝香よ、書を捨てて小屋へ行こう。おやつは鰻だ〉
ストリップ観劇への誘いだった。
これがきっかけで新井さんは「三足のわらじ」生活を送ることになる。
もともと「人付き合いが苦手」と話す新井さんだが、40代間近になって、活動の場を広げた背景には何があったのだろうか。
「ストリップは、やってみて、好きだから、としか言いようがないです(笑)。