くらし情報『最後の“銀座の花売り娘”81歳。作家・伊集院静さんとの路上での“対決”』

2022年12月4日 06:00

最後の“銀座の花売り娘”81歳。作家・伊集院静さんとの路上での“対決”

無視されて心は折れないのか。

「もう慣れた。私はいろんな時代を経験してるから」

木村さんは淡々と答えた。そして、かつて花売りに復帰して数カ月後の武勇伝を話してくれる。

「お店が入ってるビルのエレベーターのところで、60代くらいのお客さんに『お花いかがですか』って声をかけたのね。そしたら、『そんな薄汚い花なんているか!』って。つぎの瞬間、私、その人を引っぱたいちゃった。自分でもびっくりしたわよ。
でも後には引けないから、『私は、商品に関しましては絶対の自信を持って販売しております』って捲し立てて、持っていた花束を乱暴に振ったの。花びら一枚落ちなかった。『古い花は売ってないですから』って。

そのお客さん、真っ青になって『俺は、女房にもぶたれたことはない』って私に手をあげようとしたけど、秘書のような人が止めてくれた。『社長、売り言葉に買い言葉ですよ』って。私には『ごめんね。うちの社長は酔っ払うとダメなんですよ』と謝って、持っていた花束をみんな買ってくれたわ」

木村さんが、そこまで激昂したのには理由があった。

「私、花は今日明日で売り切るように計算して仕入れるし、最後はたたき売りみたいにしてでも売るのよ。

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