2023年1月29日 06:00
末期がんや難病の患者に希望を与えるトラベルドクター・伊藤玲哉さんの挑戦!
「患者さんたちと話していると、お墓参りに帰郷したいとか、娘の結婚式に出たい、最期に思い出の地に行きたいなど、その人のルーツが垣間見える言葉が出てくる。その願いをどうやったら実現できるのか、ひたすら考えるようになりました」
■旅行に付き添うために介護士の資格を取り、写真学校にも通って準備を進める
父の跡を継ぐことから、伊藤さんは大きく人生の舵を切ったのだ。
「ロールモデルのないなかで、研修医の2年目には、いずれ麻酔科医の道に進むことを決めました。外科医のサポートをする麻酔科医なら、日程の自由がきくし、旅行中の痛みの緩和や全身管理にも役立つから」
京都での3年間を終え、28歳で母校の麻酔科の医局に入った。
その後の2年間は大学病院に勤務するかたわら、旅行業をはじめ、パソコン操作や動画編集を勉強。介護士の資格も取った。写真学校にも通ったのは、旅行中の写真を撮るカメラマンも務めるためだ。
’19年3月に大学病院を退職。
フリーの麻酔科医として週1回、病院に通うスタイルだ。その後、都内のグロービス経営大学院に入学。
それまでビジネスには興味がなかったんです。でも授業を受けてみて、思考法やプレゼンテーションの訓練、世の中の仕組みを作るための学びができました」