シンガー・ソングライター小椋佳 もう燃え尽きた…でも、余生も愛燦燦
「『山河』はスケールの大きな曲。私たちの山あり谷ありの人生を振り返り、胸にジーンと来ました。最後の『SO-LONG〜』を歌いだすと、いよいよ最後だなと……。無事にやり終えてお疲れさまでしたという気持ちになって、涙が出ました。でも、小椋はずっと音楽とともにあったから、一方ではやっぱり寂しくて、終わらないでっていう思いにもなりました」
万感の思いが押し寄せたのだろう、サングラスからのぞく小椋の目尻からは、光るものが。
そして最後の曲を歌い切ると、両手を合わせ、客席へ深々と頭を下げ、確かな足取りでステージを下りた。
「これまでの音楽人生が思い出されたし、これが最後なんだなって思うと、やっぱりうるっときてしまいましたね。こんな老いぼれのために、会場が満席になるなんて、ボクは果報者です。
支えてくれた家内への感謝の気持ちも持っている。これで明日ぽっくり逝ったら最高なんだけどなあ」
■妻から「残された数少ない日々を、同じ一つ屋根の下で過ごしたい」という手紙をもらって
「いつ人生が終わってもおかしくないからこそ、朝、目覚めたときに今日生きていたなという実感があります。同時に、今日も生きなきゃいけないなというしんどさが」