岡田茉莉子、90歳 最高のパートナーを失っていま「あなた、もっと強い女になるわよ」
吉田に、思い切り作品を撮ってほしかったのです」
そこでは吉田監督の『エロス+虐殺』『煉獄エロイカ』『戒厳令』など才気ほとばしる名作が生まれた。時代は70年安保、映画は時代特有の問題意識に吉田監督の独特のカメラワークと映像美が相まって、そのつど大きな話題をさらった。それらはのちにヨーロッパでリバイバルされ、吉田監督は国内より、世界で大きな名声を得ることとなる。
「彼の撮影するものは時代を先取りしすぎているから、撮っておけばいつか時代が彼に追いつくだろう、と確信していました」
吉田監督を支えるため、岡田さんは大ヒットした『人間の証明』など、現代映画社の作品以外にも数々の話題作に出演した。
「私がよその映画やドラマに出演し、そのギャランティも製作費に回す。このやり方で、私たちは一度もお金を借りずに映画を撮り続けることができました。これは私の誇りです」
2人は一日でも長く一緒にいようと約束した。だが、別れの朝は突然、訪れた。
■遺骨は応接間のリビングに置いてある。朝に晩にと語りかけ、前を向く日が始まる
百箇日は「卒哭忌」とも呼ばれ、泣くのをやめて前に進む節目であるとされるーー。
「吉田は父であり、恋人であり、師匠であり、友人であり、そして、私を大女優に育ててくれた最高のパートナーでした。