「火葬待ち」続出で注目集める『献体』世の中の役に立てる新たな終活スタイルに
献体とは、医学・歯学の大学における学生および医師の教育・訓練のため、一般人が自身の遺体を無報酬で提供する制度。
今回、献体に関する現在の状況を順天堂大学保健医療学部・医学部特任教授(解剖学、医史学)坂井建雄氏に詳しく聞いた。
「献体を希望される方は年々増えています。2022年には、20年前に比べると献体登録者数が1.6倍に、献体実行者数は2.4倍に増え、解剖体の99%以上が献体によりまかなわれています(※データ参照)。大学によっては献体登録に制限をかけて、登録開始日を設定して先着順にしたり、ウエイティングリストを設けたりしているところもあります。おおむね大都市圏では充足する傾向にありますが、地方やまた歯学部ではまだ多くの協力を必要としています」
――なぜ、登録者数が増えたのでしょうか?
「医療の進化により、病気の早期発見など、ご自身が医療のお世話になったから恩返ししたいという声を多く聞きます。また、家族の規模が小さくなったことも理由のひとつにあります。残ったお子さんに負担をかけたくない、またはお子さんがおらず、親戚に迷惑をかけたくないという思いを持つ方もあるようです」
――献体をすることで、どのようなメリットが生じますか
「献体を行う意義は、自らの遺体の提供によって、医学や歯学の教育・発展に参加し、次世代のために貢献できる点でしょう。