くらし情報『“ウザさが癖になる”スズ子の弟子・小夜ちゃんを熱演 富田望生「天国の父と震災の孤独が、私を女優へと導いた」』

2024年1月13日 06:00

“ウザさが癖になる”スズ子の弟子・小夜ちゃんを熱演 富田望生「天国の父と震災の孤独が、私を女優へと導いた」

その後は、東京の中学校に通った。いわき時代はピアノを習い、将来はピアノの先生になるのが夢だった。

だが、震災後の移住で環境が大きく変わると、その情熱は次第に冷めていったという。

「東京でも教室探して通ったんです。でも、いわきで通った教室への思い入れが強かったのか『ここでピアノ、やりたくないな』って」

無気力になっていく娘を心配し、母はさまざまな習い事を勧めた。でも、興味をかき立てるものはなかなか見つからなかった。

■テレビに出れば友達が見てくれる

「そんなときです。子役養成所のオーディションの広告を見つけて咄嗟に『これだ!』と。
母に内緒で応募したんです。

でも、俳優になりたいと思ったわけじゃなくて。ただ、テレビに出たかったんです」

このとき、富田は中学1年生。まだ携帯電話も持っていなかった。

「とにかくテレビに出られたら、いわきの友達が見てくれるんじゃないか、そう思ったんです」

このときもまだ、胸中にあったのは故郷のこと。そして、その思いが、結果的には彼女を芝居の世界へといざなったのだった。

「エキストラやレッスンをして。中学3年で最初の出演作になる映画『ソロモンの偽証』のオーディションに合格したんです」

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