目や耳が不自由な人でも誰でも一緒に楽しめる「日本で唯一のユニバーサルシアター」を誕生させた女性
まっすぐな思いは、周囲をも変えていく。
商店街入口にある横山商店店主の横山政明さんは、
「最初にバリアフリーの映画館ができると聞いて、商店街のみんなもちょっと心配してた。だって見たことのない世界だから。でも、そのうち盲導犬を連れた人が道に迷っていると、店先の誰かが『映画館ですか』『案内しようか』と、ときに肩に手をかけて声をかけるようになってた。平塚さんの映画館ができて、この街そのものが優しくなったように思うんだよ」
■「人生を変える映画と出合ってほしい」。小さな映画館だからこそできることを
「営業的には赤字の幅が少し狭まったくらいで、いまだに私は無給で働いています。でも、それができるのも、夫が常勤の仕事で支えてくれるからです。20歳のときの交通事故で失明した夫とは、シティ・ライツの活動を通じて知り合い、’03年秋に結婚しました。
ものすごい努力家で、障害者雇用の先駆けともなった人なんです」
上映の合間の午後2時過ぎ、隣の安売りスーパーで買ってきたというパックの野菜ジュースと菓子パンを頬張りながら、平塚さんは言う。
取材に訪れた日、上映していたのは、ダウン症の弟とその兄が登場する『弟は僕のヒーロー』。