ひとり暮らし高齢女性の4割超が貧困に…夫と死別後、生活保護になる事例も
前出の吉中さんはこう語る。
「高齢夫婦の場合、働きに出ていた夫に厚生年金が上乗せされ、家庭を任された専業主婦は基礎年金のみというケースが多いです。夫婦でいれば生活できますが、単身になると、途端に女性は年金額が少なくなってしまいます。
さらに、働いていたとしても、男女間の不平等な賃金格差や労働環境が年金額に影響を与えます。その結果、“年金加入状況の成績結果”があらわれる65歳を境に、女性の貧困率が高まるのです」
だが、“成績結果”は人によって異なる。厚労省のデータによると、未婚女性の年金の平均受給額は月11万9000円ほどなのに対し、離婚した女性は月8万9000円ほどだ。一方、夫と死別した女性は月12万1000円。
前出の阿部教授の調査によると、65歳以上の女性の婚姻状況別の貧困率は、未婚が43.1%、離婚が43.6%、死別が32%だった。
ただし、これは子供や親と同居している世帯を含む、独居に限らない数値。独り暮らし女性に限れば、数値はもっと高くなるとみられる。一方、既婚女性の貧困率は13.5%だ。
具体的に見てみよう。
未婚の高齢女性は、自分で働いて生計を立ててきた場合が多いが、現役時の働き方によって、年金の受給額は異なる。