ひとり暮らし高齢女性の4割超が貧困に…夫と死別後、生活保護になる事例も
非正規労働者やフリーランスとして働いてきた人は、現在、月額6万6250円が満額(67歳以下)の国民年金(基礎年金)だけしか受給できないことが多い。一方、正社員や公務員として働いてきた人は、基礎年金に加え、現役時の収入に応じた厚生年金の比例報酬部分を受給することができる。
しかし、前述のように、日本は男女間の賃金格差が大きい。OECD(経済協力開発機構)のデータによると、日本の男女間の賃金格差は21.3%と、世界平均11.9%の約2倍もある。仮に厚生年金を受給していても、貧困に陥らないとは限らないのだ。
離婚した場合、前出のA子さんのように“年金分割”が受けられるが、ファイナンシャルプランナーで夫婦問題コンサルタントの寺門美和子さんはこう指摘する。「年金分割とは、婚姻関係があった期間、夫が納めた厚生年金の一部を、離婚後も受け取れる制度です。しかし、みなさんが期待しているほど多くはありません。
平均月3万円といわれており、どんなに多い人でも5万円くらいで、家賃にも満たない額なのです」
さらに、離婚から2年以内に手続きを行わないといけないが、制度を知らずに手続きを怠り、もらいそびれる人も多いという。