死の際で見つけた幸福…1歳9カ月のわが子を看取った女性が始めた「理想のホスピス作り」
しかし彼女らの目指す理想のホスピスはそれとは異なる場所なのだという。
■ドイツの地で起きたわが子の不調
石田千尋さんは1983年1月、福井県鯖江市に3人きょうだいの長女として生まれた。幼少期は不器用なうえマイペースすぎる行動で“悪目立ち”していた、と千尋さんは当時を振り返る。
そんな千尋さんの転機は小学3年生で硬式テニスクラブに入会し鬼コーチと出会ったこと。
「とにかく厳しくて。挨拶をせずコートに入ると、『今日は帰れ!』と。そこで鍛えられて人並みに動けるようになりました(笑)」
プロを目指す子もいる強豪クラブ。千尋さんも県大会で表彰台に登る成績を残したことがある。
「引っぱってくれる恩師や仲間に恵まれただけ」と語る努力型の千尋さんは、早稲田大学の政治経済学部へ進学。就職先として選んだのは、地元の福井テレビだった。「大学時代、9.11のテロがあり、テレビ画面にくぎ付けになって。報道の世界に興味が湧きました」
テレビ局時代は報道記者として県政からスポーツまで取材に飛び回った。そんななか出会ったのが後に夫となる男性だった。千尋さんは30歳で結婚。その4年後の2017年3月19日に長男・夕青くんが誕生した。