“駆け込み寺”の庵主さん語る女性のあり方「あなたの名前は“お母さん”でも“奥さん”でもありません」
そこを忘れて、自分というものを立ち上げたばかりに、あれが欲しい、これは嫌だ、となる。今日と明日とで、そんな教えの一部でもかじってみてください」
そこへ、ふらりと1匹の黒猫が現れ、庵主さんの膝へ。
「この織部は、座禅などしていると、『しっかりやってるか?』と覗きに来ますが、知らん顔しといてください(笑)。もう1匹の白ちゃんも夕方には帰ってきます」
この2匹の寺猫が登場する同寺のX(旧ツイッター)も大人気だ。
「先日は、夫のDVに苦しむ女性がやってきて、私と話したあと、しばらく縁側で織部と日なたぼっこをして、『また報告に来ます』と言って戻られました」
山門は朝4時から開かれ、電話相談も無料で受け付けるなど、いまや不徹寺は女性たちにとって現代の駆け込み寺であり、「人生リセット寺」の別称もあるほど。
参加者らの許しを得て修行体験に同行した。
■「“お母さん”や“奥さん”という名前の女性はいない」
午後3時になると「作務」の時間となり、これも300年の歴史を持つ禅堂である宝林堂の前庭で修行体験の梶田さんたちは草取りを始めた。
「作務とは、禅の奉仕労働です。
しばらくの間、何も考えず、作業に没頭してみてください」