海上自衛隊で女性初めての“海将”になった近藤奈津枝さん 本誌に明かした「入隊を母に大反対された過去」
約16キロの遠泳や、オールでボートを漕ぐ、とう漕訓練も男性と同じように課される。
「廿日市市の弥山は歩いて登ってもきつい山ですが、これも走って登るのです。昨年まで幹部候補生学校の校長をしていて、学生と一緒に走って登ったのですけど、まだまだ行けますね(笑)」
近藤さんが幹部候補生学校に在籍していた期間、体力面でついていけないことはなかったが、女性であるために、挑戦すらできなかった訓練があった。
「艦艇内に女性が宿泊する施設が整っていなかったり、規則や基準が整備されていなかったりしたことから、女性は艦艇勤務や、長期間海外に展開する遠洋練習航海に参加できなかったですね。それが本当に残念で悔しかったです」
遠洋練習航海に出立する際、舟艇と呼ばれる小船に乗って桟橋を出発する。同期の男性自衛官たちがそれぞれ練習艦に移乗していくなか、近藤さんを含めた女性自衛官は舟艇に乗ったまま見送り、再び桟橋に戻ることになる。「みんな、舟艇の中で泣いていました。実習幹部として海外を訪れて得るものは、その後の海上自衛隊勤務に大きく影響します。
しかし私たちにはその財産がないのです。これからの時代は、性別によりチャンスを摘み取ってはならないと強く思います」