難病の長女5年で2万枚撮り続けた写真家語る“母の使命”
’11年2月26日、結希ちゃんが生まれた。異変に気づいたのは、その年の11月。それまではずっと抱っこで暮らしていた結希ちゃんをベビーチェアに座らせたときだった。
「首がカクンと、おかしなふうに左に傾くんです。動画に撮って主人に見せると、『すぐに受診しなくては』と」(芽衣さん)
医師である理さんは、妻には黙っていたものの、生まれたばかりのわが子の体中に白斑があったことに、不安を覚えていた。動画を見た瞬間、結節性硬化症の典型的な発作症状だと気がついたという。翌日から、結希ちゃんの徹底的な検査が始まった。そして告知された病名は、不安が現実になったものだった。
脳や内臓や皮膚、骨など全身に良性の腫瘍ができ、さまざまな疾患をもたらす病気である。発症率は6,000人に1人。根本的な治療法は確立されていない。
「いまある能力が、失われるかもしれない病気です。たとえば、いま笑っているのが笑えなくなるかもしれない。医師である私も、先が読めない不安感に襲われました」(理さん)
確定診断されたその夜、大きな瞳できょとんとしている愛娘を抱きながら、夫婦で泣いた。