86歳の家庭教師が明かす現役の秘訣、「ながら算数」とは?
「父が実践していることには、脳を活性化させ、認知症を予防するヒントがたくさんあります」
そう解説するのは、小林教授だ。自律神経研究の第一人者で、最近は認知症と自律神経との関係を研究している。現在、高齢者の認知症患者は530万人。予備群の軽度認知症は400万人いるといわれているが……。
「軽度認知症の場合ならば、進行を遅らせることは可能ですが、認知症に一度なってしまったら、治すことは困難です。大事なことは40歳を過ぎたら、有酸素運動をすること。そして、ふだんの暮らしのなかで脳を刺激して、鍛えておくことです」(小林教授)
最近では、脳を鍛えるための漢字や計算ドリルなども、書店の棚に多く並んでいる。
「たしかに認知症予防にそういったドリルは有効でしょう。
しかし、単純な一行計算の繰り返しや漢字の書き取りだけでは、脳の限られた部分しか刺激されません。しかし、算数の問題を解くことは、『理解・計画・実行・検討』と、脳のすみずみまで活性化させることと同じなんです。また、難しい問題が解けたときの喜びや達成感を得たときには、脳内に『ドーパミン』という神経伝達物質が分泌されます。