くらし情報『「上田紬」女性工芸士が海外で気づいた民族衣装の素晴らしさ』

「上田紬」女性工芸士が海外で気づいた民族衣装の素晴らしさ

この旅がカリナさんを変えた。

「パブにもよく行きました。そこでは地元の人たちがすごく普通に伝統的な衣装を着て、飲んで踊って自由に楽しんでいるんですね。伝統的な民族衣装といっても少しも堅苦しくなくて、楽しくて、なんて豊かな日常だろうって」(カリナさん)

そこで初めて気がついた。

「私、なんでもっと着物を楽しんでこなかったんだろうって。前進座では毎日着物を着ていて、しかも私の家は機織り工房だっていうのに」(カリナさん)

帰国したカリナさんは、真っすぐに上田に向かった。かつてあれほど飛び出したかった紬工房に帰ったのである。

「愕然としました。
活気がまったく失われていたんです」(カリナさん)

仕事が減っていることは知っていた。それにしても、あれほど大勢いた職人はほとんどやめていて、薄暗い座敷には売れ残りの反物がうずたかく積まれている。さらにカリナさんの帰宅1週間後、工房を支えてきた祖父が倒れた。

「入院した祖父を見舞いながら、家に戻ろう、紬をやろうって。工房で受け継がれてきたものが、誰かが引き継がなければなくなってしまうという危機感と、それを守る責任を強く感じました」

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