10月文京区で開始…“こども宅食”で見守る貧困家庭の実情
じつはわれわれも2年前、同様に子ども食堂のプロジェクトを実施したんですが……」(駒崎さん・以下同)
駒崎さんは少し苦々しげな表情で振り返る。じつは同団体が3回行った子ども食堂。そこに参加した50世帯ほどの家庭のうち、明らかに支援が必要だったのはわずか1世帯だけだったというのだ。
「子ども食堂を実施する団体の多くが同じ課題を抱えています。『無料食堂です、困ってる家庭のお子さん、来てください』と呼びかけても、近所の目を気にするあまり、子どもを参加させられない、そういう親御さんが大勢いる。困窮した現状を他人に知られたくないという思いは強く、その結果、家庭の外に貧困の実態が見えてこない。何かもっとピンポイントでダイレクトに支援を届ける方法はないか、そう考えてたどり着いたのが、こども宅食でした」
事業に参加している文京区が、児童扶養手当と就学援助の受給世帯向けに配布する手紙のなかに、こども宅食を告知する書類を同封し周知を徹底した。
「それだけではありません。
告知を目にした親御さんは窓口に来ることも不要で、書類にあるQRコードをスマホで読み取るだけでLINEのアプリから申請できるんです」