「オールナイトニッポン」50年の事件簿ーー創成期の功労者が語る
「それまでの深夜放送は、トラック運転手や水商売の人など深夜労働者に向けたものでした。しかし、受験競争が激しくなり、夜遅くに机に向かいながら、1人でラジオを聴いている若者がものすごく増えてきた。そんな孤独な若者の夜に寄り添った番組が作りたかったのです」
そう語るのは、番組創成期の人気パーソナリティだった亀渕昭信さん(75)。カラーテレビが一家に一台という時代が近づき、ラジオの存在意義が危ぶまれた’67年10月、ニッポン放送のラジオ番組『オールナイトニッポン』はスタートした。
「最初は制作費も少なかったからパーソナリティは局アナが担当。でも、折り目正しく話すのではなく、リスナーに語りかけるようなスタイルで、個性を出し、面白いことをやろう、と。ちょうど始まった年に『帰ってきたヨッパライ』が関西で話題になっていて、番組で流したら“今の曲は何?”と問い合わせが殺到。そこで一晩に5回流したことも(笑)。
テレビではできない、くだらないことをやろうと、いつもワクワクしていました」(亀渕さん・以下同)
瞬く間に若者たちの心をつかんだ『オールナイトニッポン』。