日本ではわずか2頭の活動…“ファシリティドッグ”の必要性
(森田さん)
森田さん自身が、家族の話相手になることもある。4年以上の医療現場での臨床経験は、ファシリティドッグのハンドラーの条件の1つで、森田さんも看護師として5年間勤務した経験がある。家族の要請があるときには、子どもの看取りの場面に、ベイリーが付き添うこともあるという。病院にとっても、ベイリーは大切な医療スタッフという位置づけだ。
「ベイリーがいると子どもたちが苦手な採血をがんばれるので、最近では先生のほうがベイリーの訪れる時間に合わせて採血することもあります」(森田さん)
医療現場でのこんなデータもある。
「手術後の1~3日間に1回でも犬と接した子どもは、身体・精神的な痛みの割合が低下する」(米チルドレンズホスピタル・サンディエゴ)
だが、日本では導入から7年がたってもファシリティドッグの認知度は低い。活動犬はわずか2頭のみ。アメリカでは年間50頭近い育成例がある。
「理解不足や経費の問題もあると思います。感染症の問題も指摘されますが、これまで感染事故はゼロです。『病院にファシリティドッグがいるのが当たり前の社会』が私たちの目標です」