2018年3月17日 11:00
500円食べ放題!赤字前提の食堂「はっちゃんショップ」
「今日はきっと暇だ」と、はっちゃんは言ったが、それでも開店と同時に、20余りの席の9割が埋まっていく。
「熱いのいくよ、どいて、どいて!」
客でごった返す店内に威勢のいい声が響く。厨房から火鉢まで、小柄なはっちゃんが大鍋を抱えて走る。
「ほら、群馬の名物、ほうとうだよ、みんな食べな」
はっちゃんの言葉に、客がわれ先にと鍋を取り囲む。この日も、サバの味噌煮、鶏皮の炒め物、かぼちゃの煮物などなど、たくさんの料理が所狭しとならんだ。ふかしたての山菜のおこわからは、もうもうと湯気が立ち上る。
「おこわ、おいしい~」「このサバ味噌、超うめえ」という客のうれしそうな声が、あちこちから聞こえてくる。そして、すっかり膨れた腹をさすりながら、食堂を後にする客に、「ありがとね~」と、一人ひとり声をかけ、見送るはっちゃん。
「皆が喜んで、うちに来てくれるなら、ちょっとぐらい損したってかまわねえ。だから値上げなんて絶対しないし、これからもずっといまのスタイルで続けるつもりだよ。皆は金、金、言うけどさ、もう、オレは墓も立てたし、金の心配はしてねえ。