フードコーディネーターが明かす「料理の鉄人」の舞台裏
タクシーでは、宮殿を埋め尽くすほどの食材の搬入は時間的に不可能。ディレクターも「仕方がないね」とつぶやいた。
市外の駅前で、結城さんは途方に暮れた。そのとき視界の端に映ったのがマイクロバスだった。見れば何台もいる。「このバスなら市内に入れる」。すぐに駆け寄って直談判。
「乗っていた人たちにもお金を払って降りてもらい、もうバスジャックのようでした」
なんとか時間ギリギリに間に合ったのである。
このピンチで得た教訓はいまも生かされているという。
「どんな人生、局面でも、どこかにラッキーカードは1枚あるってことだと思うんです。だからね、『料理の鉄人』のおかげで私、イヤな性格になりました(笑)。あきらめの早い粋な江戸っ子だったのに、あきらめの悪い粘る性格に……」
『料理の鉄人』は、’99年に放送を終了。バブル全盛期のなかで、フォアグラや黒トリュフといった高級食材の普及にも貢献し、計8億円もの食材を購入したという。
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