2022年8月23日 07:00
磯村勇斗を突き動かした“外の世界への憧れ”「大学を辞めることはまったく怖くなかった」
「殴られるのは嫌ですけど、成瀬の刑事としての嗅覚だったり行動力については憧れの気持ちがあったと思う。だからこそ、葛藤していくんだろうなというのはありましたね」
見せ場は、クライマックスの成瀬とのシーン。あることを打ち明ける坂本の表情には、体の奥底から噴き出す感情がそのまま溢れ出ていた。
「あのシーンは、阿部さんの目に救われました。僕が話している間、ずっと阿部さんが見てくださっていたんです。坂本が何かを言おうとしてためらっているときも、絶対に外さず、優しい眼差しで見てくれていた。あの目を見たとき、きっと成瀬は全部わかっていたんじゃないかなって気がしたんですよね。阿部さんの優しい目に助けられた場面でした」
常に態度は高圧的。
何かあるとすぐに手が出る。そんな成瀬が、音楽隊でのふれ合いを通じて変わっていく。50歳を過ぎて、自分の過ちを認め、価値観をアップデートしていく成瀬を見ていると、心に新しい風が吹き込んでくる。
「本当にそうだと思います。僕ももうすぐ30歳。やっぱり年を重ねるにつれ、守りがちになるところはどこかにあって。成瀬なんて僕よりずっと長く生きていて、しかも刑事という職を人生にしてきた人だから、それがある日突然まったく違う世界に飛び込むことになるなんて、本当に怖いと思うんですよ。