GRAPEVINE×betcover!! 異なる世界観で観客を圧倒させた、一夜限りの対バンライブをレポート
じゃあ最後の曲やって終わります、サンキュー」と言ったとき以外は、MCもなし。で、そのライブ自体は......という以前に、「どういう感じの音楽なのか、読めば伝わるように言葉で説明しなさい、と命じられると困るチャート」の国内トップ3に入る存在が、現在のbetcover!! である。少なくとも、自分にとっては。
メロディの感じや、そのメロディに載せられる言葉の響き、あと衣装なんかも含むバンドの佇まいで言うと、昭和50年代頃の日本のポップ寄りなロックの感じ。自分が親しんできた音楽でいちばん近いのは『Reflections』の頃の寺尾聰だが、ただしAメロ→Bメロ→サビみたいな定形ではなく、本能の赴くまま自在に展開していく、みたいな曲構成である。アレンジ面・サウンド面で言うと、そういう曲調に、USオルタナティブや音響系の要素も入ってきて、ブルースやジャズの匂いもして、シャンソンなんかの要素を感じさせる曲もあって......というふうに、ロックもロック以外も含めて、あらゆるジャンルを感じさせるのにそれらのうちのどれでもない。そんな、ダイナミズムに満ちたバンドサウンドと、それを悠々と乗りこなす柳瀬二郎の歌を生で浴びると、ただただ圧倒されてしまうのだった。