2023年2月16日 18:00
【インタビュー】世武裕子、ピアノ弾き語りシリーズ第2弾「実はその背景にあるものこそが最も豊かで実りのあるもの」
「誰かと誰かの物語をつなぐ、媒体のような表現者でありたいんです」と。明確にご自身のやるべきことを意識していると感じられるのですが、“媒体である”とは具体的にどういうイメージなのか、お聞かせいただけますか?
何かと何かをつないでいく存在ということなんですけど、もちろん現実的には私の声を使って、私の音楽的なノウハウを使いつつも、イメージとしては素通りに近いというか、私がどう思っているかはさておいて、みたいな感覚なんですよね、この『あなたの生きている世界』という作品に関しては。
――その意識はこれまであまりなかったんですか?それともずっとあったけど今強くなっているということですか?
今の方が強いです。もともと「私がこんなふうに表現してるから見て!」みたいなものって、実はそんなになくて。だんだんその事実に気づいて来たんですよね。これ、ちょっとどうなんだろう?って思ってたことって、こういうことだったんだ、とういう感じです。自分ありきで音楽をやるということよりも音楽そのものが優先というか。まず音楽があって、それから自分がいるっていう順番。
それってほとんど一緒のようで全然違うことなんです。
――それは映画のサウンドトラックなどを手がけるからそう思うようになったんですか?
サウンドトラックや誰かのサポートをやっているから、徐々にそういうのが自分に向いていると思うようになったのではなく、もともと自分がそういう性格だからサントラをやりたいって思うんですよ。