小関裕太・岡宮来夢ら新キャストの演技が光る迫力のステージ ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』観劇レポート
ドラマで彼の演技力・魅力は多少なりとも知ってはいたが、ミュージカル初出演でこれほど魅せてくれるとは嬉しい誤算。今後もぜひ、ミュージカルでの活躍が見たい。
そしてこの作品のティボルトは、ロミオとは同じくジュリエットを愛しながらもその想いに光があたる者と顧みられない者とで、正反対の位置にある。また相手を威圧するかのように手を広げたポーズやナイフ使いである点はマーキューシオと相似形を描き、互いに近親憎悪めいたものがある。ソロナンバーも多く、まさに“影の主人公”な彼を太田は激しく、悩ましく、そして艶やかに演じ、観客を魅了している。
魅了、と言えば忘れてはいけないのが、この作品の最も大きなポイントである“死”。例えば死神や死の帝王といった意思あるいは自我をもつ存在とは異なる、気がつけばそこにある“生きる者にとっての宿命” としての死。栗山の端正かつ幽玄な美が醸し出す人外感には、皆が虜になったに違いない。
吉柳ジュリエットに至っては、「高値安定」という言葉が思い浮かんだほど歌も演技もハイレベル。恋に恋する無邪気な状態から、ロミオと出会って恋に落ち、さらには苦悩しつつロミオの元に行く道を選び、彼の死によってそれが叶わなくなったと悟ると潔く命を絶つ。