村田充、澁澤龍彦役で圧倒的な存在感を放つ 「文豪ストレイドッグス DEAD APPLE」舞台写真&レポート到着
今作ではこの世の全てに退屈を覚え、異常なまでに命の輝きに執着し、歓喜する澁澤。その気味の悪さを表情や立ち姿で表現しながらも、刹那的な美しさや寂しさも同時に醸し出す。澁澤という得体のしれない人物を見事に怪演し、人目を奪った。その澁澤と鳥越演じる敦のバトルは今作のクライマックス。澁澤の、まさしく“人間を超えた”超然たる振る舞いと、真っ向から対立する敦の「あがき、まよい、さけぶ」姿は、ぜひその目でご覧いただきたい。
文ステの特筆すべき点のひとつが、シンプルながらも高さと奥行きを生かした舞台美術や、驚きに満ちたアイデアの数々、森羅万象、何にでもなる変幻自在のアンサンブルの活躍と、不可能とも思われる場面を舞台上に出現させる中屋敷の演出力だ。本公演ではそれらがさらにパワーアップ、プロジェクションマッピングを効果的に用いた照明や迫力ある音響を駆使し、歌舞伎のようなケレン味も加わったスペクタクルな一大抗争劇を繰り広げた。そして高い身体能力と豊かな表現力を持つアンサンブルたちの人力による‟舞台装置”からも目が離せない。
8名とは思えない、変幻自在な様子はまさしく“文ステ”の華と言えるだろう。
本公演は原作映画を知らなくても十分楽しめるが、リンクする場面も織り込まれているので、ぜひ映画も観てほしい。