テレビ東京アナウンサーの片渕茜が、MCとして出演するバラエティー『出没!アド街ック天国』(毎週土曜後9:00)の最後の収録に臨み、後任の中原みなみアナウンサーとバトンタッチした。片渕アナは、2021年1月9日「ハッピーな埼玉」から30日放送「渋谷 百軒店」(15分拡大)まで3年3ヶ月にわたり、2代目宣伝部長・井ノ原快彦の相棒を務めた。最後の収録では、井ノ原と片渕アナが2人で一緒に言う「出没!」の決めゼリフに関し、「最初のうちはなかなか(タイミングが)合わなかったけど、もう“せーの”と言わなくても合うようになっちゃいましたね」と井ノ原が感慨深く語る場面も。収録後、片渕アナは、井ノ原から花束を受け取り「私は番組を離れてしまうのですが、これからもいろいろな街の変化や、変わらない街の良さは、アド街で引き続き何年も何十年もお届けしていくと思いますので、それをこれからは一視聴者として楽しく見ていけたらいいなと思っています」とコメント。峰竜太、薬丸裕英、山田五郎ら出演者からもあたたかいエールが贈られ、スタッフの拍手に包まれての卒業となった。そして、新たに5代目を務めるのは、2022年入社の中原みなみアナウンサー。中原アナは、4月6日放送「麻布十番2024」(15分拡大)から登場する。■出演者コメント▼井ノ原快彦(片渕アナは)安心感があって、年下なのですがお姉ちゃんみたいな感じで、支えてくれたことの方が多かったなと思います。また、(アド街の公式)インスタグラムが始まって、佐賀弁でしゃべってくれたり、いろいろな変化をもたらしてくれました。報道にいかれるということで、とても合っているんじゃないかなと思いますし、(アド街を)外から見たときに何か思うことがあったらまた教えてほしいなって、そういう存在だったなと思います。いつでも遊びに来てください。お疲れ様でした!▼片渕茜アナウンサーアド街4代目MCを3年3ヶ月務めさせていただきましたが、本当にあっという間でした。社会人になるまで九州を出たことがなく、就任当時は東京や関東近郊のことはあまり詳しくありませんでしたが、今では「この街にはこんな美味しいお店があるよね!」「あの街にはこんな歴史があるそうだね!」と、私よりも長く関東に住んでいる人にもうんちくを語ってしまうほどです(笑)。東京は街によってそこで生活をしている人の年齢層やファッション、聞こえてくる会話、景色などが全く違っていて、それぞれが自分と似た街を探していたり、そこに住んだりしているように感じます。私も番組を通して、自分が今魅力を感じる街ってどんなところだろう、と自分の現在地を探る機会をもつことができました。そんな街ごとの個性をアド街を通して知ることができたのは、数ヶ月かけて自らの足で取材をして、放送を迎える頃にはすでに街のことを大好きになっているスタッフの皆さん、どんな街のことにも詳しく、それぞれの角度から深掘りしてくださる峰さん、薬丸さん、五郎さん、その個性あふれるトークをいつも優しく笑顔で聞きながら受け止めてくださる井ノ原さん、そしてアド街の取材を快く受けてくださり、街の魅力を生き生きと話してくださるその街のみなさんのおかげです。ありがとうございました。もうすぐ30年を迎えるアド街ですが、今後も10年、20年と末長く続いてほしいと心から願っています。中原アナにバトンタッチした4月からのアド街にも、どうぞご期待ください!▼中原みなみアナウンサー4月で30年目となる「出没!アド街ック天国」。そのようなすてきな節目に5代目MCとして温かく迎え入れてくださり、感謝の気持ちでいっぱいです。片渕アナから受け継いだ、この歴史あるバトンを大切にし、長年番組を盛り上げてくださっているレギュラーの井ノ原さん、峰さん、薬丸さん、山田さんをそっと支えられるよう、精いっぱい努めたいと思います。出身は神奈川県で、東京で暮らすようになり2年目。行ったことのない街、食べたことのないご飯、その街に息づく人たちの表情など、知らないこと、見てみたいもの、食べてみたいものがたくさんあります。ひょっとするとアド街で取り上げた街に、私も出没しているかもしれません。(笑)こうしたアド街を見ると湧き起こってくる、食べてみようかな、行ってみようかな、という気持ちは、明日につながる最高の活力だと思います。そんなすてきな土曜日の夜を、視聴者の皆さんと一緒に過ごせるのが今からとても楽しみです。これから、どうぞよろしくお願いします。■番組プロデューサー・森本泰介氏(片渕アナは)4代目として3年3ヶ月務めていただきましたが、井ノ原さんとの安定したやり取り、前に出すぎず出演者さんを引き立てる役目、頼もしかったのとともに、本当にありがとうございました。お疲れ様でした。「アド街」が30年目に突入する節目のこのタイミングで卒業することになりましたが、新しい場所での活躍を祈りつつ、「アド街」がさらなる発展をしていけるよう陰ながら応援してくださいね!たまにはちらっと登場してもらったり、ゲストとして出演!なんてことがあるかも…!?■“アド街”テレビ東京アナウンサーの歴代MC1995年4月~ 八塩圭子2003年4月~ 大江麻理子2013年4月~ 須黒清華2021年1月~ 片渕茜2024年4月~ 中原みなみ
2024年03月15日画家・中原淳一と、榮太樓總本鋪のコラボレーションキャンディー缶「榮太樓飴 梅ぼ志飴・黒飴」が登場。2023年11月18日(土)より順次、榮太樓總本鋪各店ほかで発売される。画家・中原淳一×榮太樓總本鋪によるコラボキャンディ缶ファッションデザイン、雑誌編集、そしてイラストレーションなど、多岐にわたる分野で活躍した中原淳一(なかはら じゅんいち)。戦後に『それいゆ』や『ひまわり』などの雑誌を創刊し、夢を忘れがちな時代の中でも美しく幸せに生きる道筋を示した。そんな中原淳一と、1818年に創業した日本の老舗和菓子屋の榮太樓總本鋪がコラボレーション。今回は、榮太樓總本鋪の代表商品である「榮太樓飴(梅ぼ志飴・黒飴)」に、中原によるイラストをあしらったコラボレーション缶を展開する。赤いスカートの女の子を描いた「梅ぼ志飴」「梅ぼ志飴」には、赤いスカートの女の子のイラストを採用。「梅ぼ志飴」とは、棒状に延ばした紅い飴を鋏で切り、指でつまんで作る三角の飴で、まるでしわの寄った梅干しのような見た目が特徴だ。歯に付かずカリカリと軽やかに噛み砕けるキレの良さや、「カラメル」を主体とした複雑な風味を楽しむことができる。「黒飴」にはネッカチーフの女性のイラストネッカチーフの女性のイラストをあしらった「黒飴」は、黒糖の独特の風味がより引き立つ沖縄県産の黒糖を使用した1品。上白糖、黒糖、水あめ、桂皮末のみで作られた、飽きの来ない味が魅力となっている。なお、いずれのパッケージにも、底面にイラストが隠されているためぜひ探してみてほしい。【詳細】「中原淳一コラボレーション缶 榮太樓飴 梅ぼ志飴・黒飴」648円発売日:2023年11月18日(土)~順次取扱店舗:榮太樓總本鋪各店、そごう美術館「111年目の中原淳一展」ほか、榮太樓總本鋪公式オンラインストア、
2023年11月20日そごう美術館(そごう横浜店6階)では、2023年11月18日(土)より、『111年目の中原淳一展』が開催される。戦前から戦後にかけて「ほんとうの美しさ、豊かさ」を追求し、女性たちから圧倒的に支持された中原淳一(1913ー1983)の生誕111年を記念して、彼が手掛けた雑誌の仕事に焦点を当てながら、人形、洋服、きものなど、中原が表現した美の全貌を紹介する展覧会だ。1913年(大正2)、香川県に生まれた中原は、上京後、19歳の時に開催した創作人形の個展が高く評価され、雑誌『少女の友』と専属挿絵画家の契約を結んだ。彼の描く大きな瞳と細長い手足を持った「新しい少女」像は、同世代の女性たちを魅了し、その後の少女漫画にも大きな影響を及ぼした。また終戦直後の1946年(昭和21)には、ファッション、美容、インテリア、手芸、文学、美術と、中原が考える美の本質を追求した雑誌『それいゆ』を、翌年には、戦争によって少女時代を奪われた女性たちのための雑誌『ひまわり』を創刊し、新しい時代の少女たちに夢を与えた。同展では、これらの雑誌で中原が描いた表紙原画やスタイル画はもちろんのこと、彼が10代の頃に作った詩画集や油絵、デビューのきっかけとなった人形作品など、アーティストとしての活動も紹介。“「いつまでも古くならないもの」―それこそがむしろもっとも「新しい」ものだとはいえないでしょうか。“そう本人が言ったように、111年たっても色あせることない作品から、現代にもつながる中原淳一の影響や価値観、さらに新しい魅力を発見できるかもしれない。なお12月9日(土)には、横浜ゆかりの演奏家たちが中原淳展にちなんだ曲などを演奏する「クラシック・ヨコハマ2023ミュージアムコンサート」(参加費無料)の公演も。詳細は美術館ホームページで確認を。<開催情報>『111年目の中原淳一展』会期:2023年11月18日(土)〜2024年1月10日(水)会場:そごう美術館時間:10:00~20:00、12月31日(日)、1月1日(月・祝)は18:00まで(入館は閉館30分前まで)※会期中無休料金:一般1,400円、大高1,200円公式サイト:
2023年10月26日小芝風花が主演する「波よ聞いてくれ」の4話が5月12日オンエア。マキエから「私、兄に愛され過ぎて困ってます」と告白された片寄涼太演じる中原の反応に「だから片寄くんなの?」「兄こまをぶっこんでくるのすご」などといった反応が相次いで寄せられている。2020年に「マンガ大賞」第4位にランクインしたほか、アニメ化もされた同名原作の実写化となる本作。滑舌の良さ、頭の回転の速さと独特のユーモアのセンスを持ち、円山ラジオ(MRS)のチーフディレクター・麻藤兼嗣によっていきなりラジオパーソナリティーにさせられてしまう鼓田ミナレを小芝さんが演じる。ミナレとともにスープカレー店「VOYAGER」で働く従業員で、ミナレに好意を寄せている中原忠也に「GENERATIONS」片寄涼太。アパートを追い出されたミナレを自宅に居候させる円山ラジオ(MRS)の制作部アシスタントディレクター(AD)の南波瑞穂に原菜乃華。自宅の扉をチェーンソーで切り裂いて脱出、「VOYAGER」で働くことになる謎の美女・城華マキエに中村ゆりか。お昼の生放送番組「September Blue Moon」を担当する円山ラジオ(MRS)の人気パーソナリティーで、カップ酒を飲んで泥酔してミナレに絡んでくる茅代まどかに平野綾。事故で入院している「VOYAGER」の店長、宝田嘉樹に西村瑞樹(バイきんぐ)。円山ラジオ(MRS)のレコーディングエンジニアでミナレの冠番組「波よ聞いてくれ」に携わっていく箱坂富美に井頭愛海。月刊誌「LAMED」編集者で「VOYAGER」常連客の久古蘭に中川知香。官能小説家としての顔も持つ構成作家の久連木克三に小市慢太郎。円山ラジオ(MRS)制作部チーフディレクターで、良くも悪くも「自由度が高いラジオ」の権化のような思考の持ち主である麻藤兼嗣に北村一輝といったキャストも共演する。※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。4話では久連木がTVやラジオの凋落に憤る謎の集団に拉致・監禁される展開に。その一方でミナレと中原はマキエから「6年間、自宅に軟禁されていました。実の兄から」と打ち明けられる…。「私、兄に愛され過ぎて困ってます」と語るマキエに、中原は「なんか映画のタイトルみたいっすね」と反応するのだが、このシーンに「片寄くんと奥様の共演作の兄こまをぶっこんでくるのすご(笑)」「兄に愛されすぎて困ってますって太鳳ちゃんとこの男性の映画ではなかったか!?」「片寄くんの前で「兄に愛されすぎて困ってます」を言うとはwww」「兄に愛されすぎて困ってます だから片寄くんなの?」など、視聴者からのツッコミが相次ぐ。軟禁中の6年間、ラジオが拠り所だったと話すマキエは、ミナレのおかげで「自分の夢というか、目標」ができたと明かし、その後はバイト中にメモをとるように…。そんなマキエにも「城華マキエは結局何がしたいんですかね?次週明らかになるかな?」「マキエさん謎めいてるなぁ まだ正体が見えない」「マキエちゃん。一体、本当は何者なのだ??」などといった反応が寄せられている。【第5話あらすじ】VOYAGERにマキエの兄・城華亨(庄野崎謙)がやってきて店は大騒ぎに。マキエに家に帰るよう説得してくる亨だが、人生の目標ができたというマキエは亨の言いなりにはならないと断固拒否。ただマキエは目標の詳細を誰にも明かさず、相変わらず秘密を抱えている様子で…。「波よ聞いてくれ」は毎週金曜23:15~テレビ朝日系で放送中。(笠緒)
2023年05月13日舞台『文豪ストレイドッグス DEAD APPLE』の東京公演が4月23日に開幕し、緊急事態宣言に伴い後半の公演は中止になったものの、5月5日(水)の大千穐楽公演は無観客ライブ配信が決定。シリーズ第五弾となる今作では、2018年3月に劇場版として公開された映画「文豪ストレイドッグス DEAD APPLE」を舞台化。映画から、異能力を持つ探偵集団「武装探偵社」の中島敦(鳥越裕貴)、太宰治(田淵累生)、泉 鏡花(桑江咲菜)、そしてヨコハマの裏社会に巣食う「ポートマフィア」の芥川龍之介(橋本祥平)、中原中也(植田圭輔)、さらに地下組織の盗賊団「死の家の鼠」の頭目であるフョードル・D(岸本勇太)、今作の鍵を握る謎に包まれた異能力者・澁澤龍彦(村田充)の7名に絞り、それぞれのキャラクターを深堀りしていく。また、映画のストーリーそのままの舞台化というわけでなく、2018年から現在まで原作が展開する中で判明した追加要素や、舞台で初出しとなる情報も含んだ、原作者の朝霧カフカ書き下ろし脚本で贈る、もうひとつの「DEAD APPLE」となっている。特に、同じ組織に所属していながらこれまであまり絡みのなかった、芥川龍之介、中原中也ふたりのシーンが作られているところが今作ならでは。インタビューで橋本が「中也さん、こんな先輩風吹かせるんだ」と新鮮に感じたという、上司と部下という関係性が見えるふたりのやりとりに注目だ。さらに、霧が立ち込めるヨコハマを舞台に展開される今作だけの演出も多数あり、映画でも描かれた中原中也の見せ場となる戦闘シーンは、空間全体を使用したド派手な演出となっているので、大きな見どころだろう。映画を観ている人は、どうやってあのシーンを表現したのかを、ぜひ確認してほしい。なお、今作より、 太宰治を新キャストの田淵累生が演じる。初代からの変更ということでプレッシャーも大きいと思うが、ビジュアルはもちろん、声まで忠実に原作アニメから再現。これまでのシリーズを見てきたファンも納得させるクオリティーの高さで新たな太宰治を舞台上に誕生させてみせた。5月5日(水・祝)13時より上演の大千穐楽公演のライブ配信は、当初の予定よりカメラ台数を大幅に増やし、大千穐楽限定のオリジナルスイッチング映像を配信予定。さらに開演10分前には、ライブ配信のために撮り下ろしたスペシャルムービーを上映するので、開演15分前からの配信をお見逃しなく。取材・文:能一ナオ公演情報舞台『文豪ストレイドッグス DEAD APPLE』脚本:朝霧カフカ脚本協力:内田裕基演出:中屋敷法仁協力:春河35音楽:岩崎琢振付:スズキ拓朗出演:鳥越裕貴 / 桑江咲菜 / 橋本祥平 / 植田圭輔 / 田淵累生 / 岸本勇太 / 村田充 / 他<大千穐楽公演無観客ライブ配信>配信日時:5月5日(水・祝) 13:00 ※開演10分前をめどに撮り下ろしスペシャルムービーを上映PIA LIVE STREAMにて配信チケットは下記関連作品・公演の舞台『文豪ストレイドッグス DEAD APPLE』情報ページから購入できます。Blu-ray&DVDが2021年9月29日(水)発売決定!詳細は公式サイトにてご確認ください。
2021年05月01日4月16日(金)、大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA WWホールにて舞台「文豪ストレイドッグス DEAD APPLE」が開幕。この度、大阪公演の開幕に際し、舞台写真とオフィシャルレポートが到着した。本作は、シリーズ累計800万部超の大ヒット作『文豪ストレイドッグス』の舞台化第5弾。2018年公開の映画『文豪ストレイドッグス DEAD APPLE』を原作に、朝霧カフカによる書き下ろし脚本で“もう一つの「DEAD APPLE」”を描く。物語はヨコハマ、街の雑踏から始まる。武装探偵社の会議をさぼった太宰治を探して走りまわる中島敦。敦はその後、一人の老婆があわや交通事故という場面に出くわすが、奇妙な長髪の男の出現で事故は回避。敦にはどこか見覚えのあるその男こそ、6年前に起こった龍頭抗争の首謀者・澁澤龍彦だった。時を同じくして武装探偵社では、「異能力者連続自殺事件」の調査に乗り出しており、澁澤はその容疑者として名前が浮上していた。そして、そんなふたりを取り巻くように、ヨコハマが深い霧に覆われる。一方、ポートマフィアでもこの事件を追い、芥川龍之介が指令を受けていた。発生した霧は、異能力者から異能を奪う力があるというのだ。芥川へ中原中也から下された指令は、澁澤の打倒でなく、澁澤をヨコハマに招き入れた罪人・太宰治の殺害だった。浅からぬ想いが太宰にある芥川はその指令に驚愕するも、自らの異能を取り戻すべく、太宰らのいる“骸砦”へと向かう。それぞれの目的を果たすため、探偵社、ポートマフィアが動き出す中、“骸砦”で澁澤と相見える太宰。そしてそこへ現れる魔人・フョードル。白い衣裳を纏った三人は舞台上でも特出して異彩を放つ。高い思考を持つ三人の腹を探り合うような会話のテンポが見ている観客を舞台へと引き込む。今作では、敦、鏡花、芥川が乖離した異能を通じてそれぞれの「壁」と対峙し、それを乗り越えるさまが描かれている。2017年の初演以来、エバーグリーンな輝きを放ち続ける中島敦役の鳥越。今回は敦の内面奥深くに芽生える苦悩に寄り添う姿を、見事に体現している。その過程で、乖離した異能力”月下獣”に立ち向かい、自らの過去を受け入れていく敦。ラストに鳥越が魅せる”生命の輝き”は、まさしく舞台ならではの熱量だといえる。元ポートマフィアの暗殺者、泉鏡花役・桑江が小柄な体躯を生かしながら舞台を縦横無尽に駆ける様子は”文ステ”シリーズではおなじみ。霧の中、鏡花は“両親の仇”である異能“夜叉白雪”と相対する。「鏡花の両親と“夜叉白雪”の真相」に触れ、本当の意味で自らの異能を取り戻す鏡花。鏡花の深い内面を表出させる桑江の熱演は、“文ステ”の新たな魅力となった。今作において、映画と大きく異なって描かれるのがポートマフィアの2人だ。橋本祥平演じる芥川は、異能を喪うという窮地にあっても、ブレることのない意志を以て任務にあたる。橋本の持つクールかつソリッドな魅力はこれまで同様、今作では、一層ストイックな芥川を好演している。また、植田圭輔演じる中也との絡みでは、これまであまり出すことのなかった‟後輩顔”もちらりと覗かせる。この点もファンがこれまで見たことのなかった“芥川像”となるのではなかろうか。その中也は作中で八面六臂の大活躍を見せる。演じる植田圭輔の運動神経の高さはもちろん、特筆すべきは“文ステ”初となる「フライング演出」への挑戦だ。舞台表現が難しい「龍」との対決、異能力“汚濁”の発動を、プロジェクションマッピングとの合わせ技で見事に表現している。劇中歌に合わせた一連のステージングは、原作を見たファンであれば、その再現度に感嘆するに違いない。併せて今作では、原作にはなかったアクションシーンや、幹部然とした中也の一面が追加されている。アンサンブルとともに魅せる大立ち回りにもぜひ注目いただきたい。その中也の元・相棒、太宰を演じるのは“文ステ”初登場の田淵累生。陰謀が渦巻く“骸砦”では冷静さが際立つ役回りだが、今作最後に見せた人間味あふれる表情が筆舌しがたいほど素晴らしかった。中也役・植田とも息の合ったコンビネーションを魅せ、これまでのシリーズで積み上げられてきた太宰の魅力をそのままに、さらなる奥深さをキャラクターに与えている。今作ではフョードル役・岸本、澁澤役・村田との“超人同士の騙し合い”を見事に演じきっている。初登場はまだまだ続く。謎多き男、フョードル・D役に挑んだのは岸本勇太。フョードルは今作で超越的な策謀を企てる“魔人”。岸本が舞台に登場するたびに凍てつくような緊張感が漂い、空気がぐっと引き締まる。初登場とは思えぬほど場を支配しており、狡猾なフョードルをすっかり自分のものにした岸本。また、クライマックスに向け盛り上がる中、アンサンブルと魅せるダンスシーンにも注目だ。そして圧倒的な存在感を示したのが、澁澤役の村田充だ。今作ではこの世の全てに退屈を覚え、異常なまでに命の輝きに執着し、歓喜する澁澤。その気味の悪さを表情や立ち姿で表現しながらも、刹那的な美しさや寂しさも同時に醸し出す。澁澤という得体のしれない人物を見事に怪演し、人目を奪った。その澁澤と鳥越演じる敦のバトルは今作のクライマックス。澁澤の、まさしく“人間を超えた”超然たる振る舞いと、真っ向から対立する敦の「あがき、まよい、さけぶ」姿は、ぜひその目でご覧いただきたい。文ステの特筆すべき点のひとつが、シンプルながらも高さと奥行きを生かした舞台美術や、驚きに満ちたアイデアの数々、森羅万象、何にでもなる変幻自在のアンサンブルの活躍と、不可能とも思われる場面を舞台上に出現させる中屋敷の演出力だ。本公演ではそれらがさらにパワーアップ、プロジェクションマッピングを効果的に用いた照明や迫力ある音響を駆使し、歌舞伎のようなケレン味も加わったスペクタクルな一大抗争劇を繰り広げた。そして高い身体能力と豊かな表現力を持つアンサンブルたちの人力による‟舞台装置”からも目が離せない。 8名とは思えない、変幻自在な様子はまさしく“文ステ”の華と言えるだろう。本公演は原作映画を知らなくても十分楽しめるが、リンクする場面も織り込まれているので、ぜひ映画も観てほしい。また、舞台ならではの新たな視点が盛り込まれた今作は、映画を視聴したファンにこそ、見ていただきたいものでもある。その両方を知ることで作品世界により深く入り込めることだろう。舞台『文豪ストレイドッグス DEAD APPLE』大阪公演は4月18日(日)まで上演。4月23日(金)より東京・日本青年館で開幕、5月5日(水・祝)まで上演する。東京公演では、全16公演をライブ配信もするので、舞台と配信のハイブリッドでその魅力を堪能できる。全15名のキャストが舞台上で織りなす“赤き果実”。是非ご賞味あれ。【公演概要】舞台「文豪ストレイドッグス DEAD APPLE」原作:映画『文豪ストレイドッグス DEAD APPLE(デッドアップル)』脚本:朝霧カフカ / 脚本協力:内田裕基 / 演出:中屋敷法仁 / 協力:春河35<出演>中島敦 役:鳥越裕貴 / 泉鏡花 役:桑江咲菜 / 芥川龍之介 役:橋本祥平 / 中原中也 役:植田圭輔太宰治 役:田淵累生 / フョードル・D 役:岸本勇太 / 澁澤龍彦 役:村田充大石樹、岡村樹、山中啓伍、有光麻緒、浦島優奈、小野塚茉央、小林らら、美守桃●大阪公演 2021年4月16日(金)~18日(日)料金:8,800円(税込・全席指定)主催:サンライズプロモーション大阪問合せ先:キョードーインフォメーション 0570-200-888(11:00~16:00 / 日祝休業)●東京公演 2021年4月23日(金)~5月5日(水・祝)会場:日本青年館ホール料金:8,800円(税込・全席指定)主催:舞台「文豪ストレイドッグス DEAD APPLE」製作委員会問合せ先:インフォメーションダイヤル 03-5793-8878(13:00~15:00 / 土日祝休業)公式サイト: 公式Twitter: <ライブ配信>舞台「文豪ストレイドッグス DEAD APPLE」では東京公演全16公演のライブ配信を実施。詳細は公式サイトをご確認ください。配信媒体:・Streaming+: ・PIA LIVE STREAM: 配信料金:2,500円(税込)※特典付き(公演毎に異なるブロマイド)企画:舞台「文豪ストレイドッグス DEAD APPLE」製作委員会制作:バンダイナムコライブクリエイティブ/ゴーチ・ブラザーズ
2021年04月19日舞台『文豪ストレイドッグス DEAD APPLE』が16日に大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA WWホールで初日を迎え、オフィシャルレポートが到着した。同作は原作・朝霧カフカ、作画・春河35による同名人気漫画の舞台化作で、今回が5作品目となる。劇団「柿喰う客」の中屋敷法仁が演出を務める。中島敦、芥川龍之介、太宰治といった文豪の名を懐くキャラクターがされ、異能力を用いて戦う。本作の原作は、2018年公開の映画『文豪ストレイドッグス DEAD APPLE』。異能力者が次々に自らの異能を使い自殺するという不可解な「ヨコハマ連続自殺事件」を発端に、武装探偵社、ポートマフィアはそれぞれ、事件の犯人と目される男・澁澤龍彦を追い始める。時を同じくして澁澤と相見える太宰治と魔人・フョードル。遡ること6年前に勃発した「龍頭抗争」での因縁を経て、骸砦に集う三超人の思惑が、ヨコハマを深い霧闇に覆う。舞台化に当たり、原作の朝霧カフカが自ら筆を執り、自身初となる舞台脚本の書き下ろしを行った。原作映画の公開から3年が経つ今、公開当時にはまだ明かされていなかったエピソードや新たな側面をふんだんに盛り込みながら物語を展開。登場人物である「武装探偵社」の中島 敦(鳥越裕貴)・太宰治(田淵累生)・泉鏡花(桑江咲菜)、ヨコハマの裏社会に巣食う「ポートマフィア」の芥川龍之介(橋本祥平)・中原中也(植田圭輔)、地下組織の盗賊団「死の家の鼠」の頭目であるフョードル・D(岸本勇太)、そして今作の鍵を握る美しくもおぞましい異能力を持つ男・澁澤龍彦(村田充)の7名に焦点が当たる。○オフィシャルレポート物語はヨコハマ、街の雑踏から始まる。武装探偵社の会議をさぼった太宰 治を探して走りまわる中島敦。敦はその後、一人の老婆があわや交通事故という場面に出くわすが、奇妙な長髪の男の出現で事故は回避。敦にはどこか見覚えのあるその男こそ、6年前に起こった龍頭抗争の首謀者・澁澤龍彦だった。時を同じくして武装探偵社では、「異能力者連続自殺事件」の調査に乗り出しており、澁澤はその容疑者として名前が浮上していた。そして、そんな二人を取り巻くように、ヨコハマが深い霧に覆われる。一方、ポートマフィアでもこの事件を追い、芥川龍之介が指令を受けていた。発生した霧は、異能力者から異能を奪う力があるというのだ。芥川へ中原中也から下された指令は、澁澤の打倒でなく、澁澤をヨコハマに招き入れた罪人・太宰 治の殺害だった。浅からぬ想いが太宰にある芥川はその指令に驚愕するも、自らの異能を取り戻すべく、太宰らのいる”骸砦”へと向かう。それぞれの目的を果たすため、探偵社、ポートマフィアが動き出す中、"骸砦"で澁澤と相見える太宰。そしてそこへ現れる魔人・フョードル。白い衣裳を纏った三人は舞台上でも特出して異彩を放つ。高い思考を持つ三人の腹を探り合うような会話のテンポが見ている観客を舞台へと引き込む。今作では、敦、鏡花、芥川が乖離した異能を通じてそれぞれの「壁」と対峙し、それを乗り越えるさまが描かれている。2017年の初演以来、エバーグリーンな輝きを放ち続ける中島敦役の鳥越。今回は敦の内面奥深くに芽生える苦悩に寄り添う姿を、見事に体現している。その過程で、乖離した異能力”月下獣”に立ち向かい、自らの過去を受け入れていく敦。ラストに鳥越が魅せる”生命の輝き”は、まさしく舞台ならではの熱量だといえる。元ポートマフィアの暗殺者、泉鏡花役・桑江が小柄な体躯を生かしながら舞台を縦横無尽に駆ける様子は”文ステ”シリーズではおなじみ。霧の中、鏡花は”両親の仇”である異能”夜叉白雪”と相対する。「鏡花の両親と”夜叉白雪”の真相」に触れ、本当の意味で自らの異能を取り戻す鏡花。鏡花の深い内面を表出させる桑江の熱演は、”文ステ”の新たな魅力となった。今作において、映画と大きく異なって描かれるのがポートマフィアの2人だ。橋本祥平演じる芥川は、異能を喪うという窮地にあっても、ブレることのない意志を以て任務にあたる。橋本の持つクールかつソリッドな魅力はこれまで同様、今作では、一層ストイックな芥川を好演している。また、植田圭輔演じる中也との絡みでは、これまであまり出すことのなかった"後輩顔"もちらりと覗かせる。この点もファンがこれまで見たことのなかった”芥川像”となるのではなかろうか。その中也は作中で八面六臂の大活躍を見せる。演じる植田圭輔の運動神経の高さはもちろん、特筆すべきは”文ステ”初となる「フライング演出」への挑戦だ。舞台表現が難しい「龍」との対決、異能力”汚濁”の発動を、プロジェクションマッピングとの合わせ技で見事に表現している。劇中歌に合わせた一連のステージングは、原作を見たファンであれば、その再現度に感嘆するに違いない。併せて今作では、原作にはなかったアクションシーンや、幹部然とした中也の一面が追加されている。アンサンブルとともに魅せる大立ち回りにもぜひ注目いただきたい。その中也の元・相棒、太宰を演じるのは"文ステ"初登場の田淵累生。陰謀が渦巻く”骸砦”では冷静さが際立つ役回りだが、今作最後に見せた人間味あふれる表情が筆舌しがたいほど素晴らしかった。中也役・植田とも息の合ったコンビネーションを魅せ、これまでのシリーズで積み上げられてきた太宰の魅力をそのままに、さらなる奥深さをキャラクターに与えている。今作ではフョードル役・岸本、澁澤役・村田との”超人同士の騙し合い”を見事に演じきっている。初登場はまだまだ続く。謎多き男、フョードル・D役に挑んだのは岸本勇太。フョードルは今作で超越的な策謀を企てる"魔人"。岸本が舞台に登場するたびに凍てつくような緊張感が漂い、空気がぐっと引き締まる。初登場とは思えぬほど場を支配しており、狡猾なフョードルをすっかり自分のものにした岸本。また、クライマックスに向け盛り上がる中、アンサンブルと魅せるダンスシーンにも注目だ。そして圧倒的な存在感を示したのが、澁澤役の村田充だ。今作ではこの世の全てに退屈を覚え、異常なまでに命の輝きに執着し、歓喜する澁澤。その気味の悪さを表情や立ち姿で表現しながらも、刹那的な美しさや寂しさも同時に醸し出す。澁澤という得体のしれない人物を見事に怪演し、人目を奪った。その澁澤と鳥越演じる敦のバトルは今作のクライマックス。澁澤の、まさしく”人間を超えた”超然たる振る舞いと、真っ向から対立する敦の「あがき、まよい、さけぶ」姿は、ぜひその目でご覧いただきたい。文ステの特筆すべき点のひとつが、シンプルながらも高さと奥行きを生かした舞台美術や、驚きに満ちたアイデアの数々、森羅万象、何にでもなる変幻自在のアンサンブルの活躍と、不可能とも思われる場面を舞台上に出現させる中屋敷の演出力だ。本公演ではそれらがさらにパワーアップ、プロジェクションマッピングを効果的に用いた照明や迫力ある音響を駆使し、歌舞伎のようなケレン味も加わったスペクタクルな一大抗争劇を繰り広げた。そして高い身体能力と豊かな表現力を持つアンサンブルたちの人力による"舞台装置"からも目が離せない。 8名とは思えない、変幻自在な様子はまさしく”文ステ”の華と言えるだろう。本公演は原作映画を知らなくても十分楽しめるが、リンクする場面も織り込まれているので、ぜひ映画も観てほしい。また、舞台ならではの新たな視点が盛り込まれた今作は、映画を視聴したファンにこそ、見ていただきたいものでもある。その両方を知ることで作品世界により深く入り込めることだろう。舞台『文豪ストレイドッグス DEAD APPLE』大阪公演は4月18日(日)まで上演。4月23日(金)より東京・日本青年館で開幕、5月5日(水・祝)まで上演する。東京公演では、全16公演をライブ配信もするので、舞台と配信のハイブリッドでその魅力を堪能できる。全15名のキャストが舞台上で織りなす”赤き果実”。是非ご賞味あれ。○舞台写真(C)舞台「文豪ストレイドッグス DEAD APPLE」製作委員会
2021年04月16日成田凌と清原果耶がW主演し、『婚前特急』『わたしのハワイの歩きかた』の監督・前田弘二、脚本・高田亮コンビによるオリジナルストーリーとなる映画『まともじゃないのは君も一緒』。本作は「普通に結婚して、普通に暮らしたい」と思うも、世間に馴染めず、自分の何が“普通”と違うのか分からないでいる独身・彼女なし、いわゆる“世間の普通から全くズレた男”の予備校講師・大野(成田さん)と、実は恋愛経験ゼロなのに自分を恋愛上級者と思いこみ、大野を“普通じゃない”と指摘する唯一の相手である教え子の香住(清原さん)の全く気が合わない2人のユーモアにあふれた掛け合いが見どころの一つ。今回は、どんな役でも確実にこなす“振れ幅MAX”俳優の成田さんの魅力と役柄に迫った。成田さんといえば、映画『スマホを落としただけなのに』で狂気の連続殺人犯を演じると「怖すぎてヤバい」とその怪演が話題になり、詩人・中原中也を彷彿とさせる文学青年を演じた『ビブリア古書堂の事件手帖』と合わせて2019年の日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。『愛がなんだ』では現代的な青年を、自身の初主演作となった『カツベン!』では大正時代の“偽”活動弁士としてドタバタ喜劇をもこなし、現在放送中のNHK連続テレビ小説「おちょやん」でも大正・昭和初期の青年を演じるなど、時代設定や役どころに関わらず、どんな役でも説得力を感じさせる成田さん。そして本作では、女性にデートに誘われ「あなたの普段行っている所に行きたい」と言われて、お洒落なお店ではなく本当に行きつけの定食屋に行ったり、女性に“好きです”と告白されても「それ定量的にいってくれるかな?」と数学用語を真顔で言ってしまう大野を好演。そんな大野について、成田さんは「素直に生きている人だと思うんです。素直に分からないことは、分からないと言う。その分からないポイントが普通とは違うので変だと言われますが、人としては変ではないと思います」とコメント。さらに「コメディに振り切ろうとしてしまうと危険な作品なんですが、(清原さんも)同じくらいの危機感を持ってやってくださったと思います」と、演じる上であえて誇張した演技をしないように意識したそうで、清原さんとの掛け合いは不安もなくスムーズにできたという。また、劇中でも印象的で、予告編でも描かれている大野の独特な笑い方は、前田監督と成田さんでいくつか案を出し合って完成した笑い方だそう。恋愛経験・コミュ力ゼロ、普通に恋愛をしたい大野としての存在に説得力を感じさせるのは、「歩き方、走り方で人柄って出ると思うので、そういう細かい演技をやっていこうと思ってます」と話す成田さんの緻密な演技の賜物。本作でも、役に憑依した成田さんの演技力に目を奪われることになりそうだ。『まともじゃないのは君も一緒』は3月19日(金)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:まともじゃないのは君も一緒 2021年3月19日より全国にて公開©2020「まともじゃないのは君も一緒」製作委員会
2021年03月02日スマートフォンで詩を綴り、現代の空気や人々の感情を鮮やかに表現する詩人・最果タヒの個展が、2・3月に巡回する。2020年に福岡と東京の来場者から大きな支持を集めた展覧会の愛知・大阪“上陸”にあたって、作家本人に見どころを尋ねた。「最果タヒ展 われわれはこの距離を守るべく生まれた、夜のために在る6等星なのです。」チケット情報20代で現代詩手帖賞、中原中也賞を獲得して以来、ツイッターでの作品発表、詩集の映画化(石井裕也監督作『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』)、作詞提供、ホテルとのコラボレーションなど幅広い活動で知られる最果。本展では、詩になる“直前”の言葉が集められた展示空間を通じて、来場者が主体的に詩を体感できるインスタレーションが展開される。特に圧巻なのは、どの会場でも最大の展示面積を占める《詩になる直前の、》シリーズだろう。天井から吊るされた無数のモビール群にはそれぞれ脈絡のない断片的なワードが連なっており、来場者は回転し揺らめくモビールを分け入りながら鑑賞する。最果が企画意図を「観客がいて初めて詩が完成する空間をつくれたら」「私がいちばん鮮烈だと感じる、言葉が自分の想像を超えていく瞬間が作品に現れることが理想」とする通り、琴線に触れる語に偶然“出会う”もよし“探して”必然とするもよし、楽しみ方は来場者次第。愛知はギャラリーの形で、大阪はモビールの量でさらなる没入感を演出するという。東京会場から登場した《座れる詩》は、丸い椅子に腰かけると詩の朗読が聞こえてくる趣向だ。愛知では『夕陽の詩』、大阪では『STAY BRIGHT』が追加され、いずれも演劇ユニット・マームとジプシーやチェルフィッチュなどの作品で活躍する俳優・青柳いづみの声で再生される。「読んだ人が自分のものとして自由に楽しめる詩」を目指していた最果は、青柳の「自分らしさを発揮するような読み方は考えていない」という姿勢に共感。「来場者の意識に自然と働きかけていくような朗読で、言葉に遠近も感じられる」と絶大な信頼を寄せる。軽率な発言が憚られるコロナ禍では、他人の目をつい気にしてしまう。しかし、最果はこんな時こそ本展には意義があるのでは、と考える。「懸命に空気を読んで求められる自分を演じたあと、映画や文学に触れると、自分を取り戻す感覚があります。それを好きだと思えた時の自分は、誰にも否定できないものだからです」「"私"を取り戻していける、そういう場所に展示もできたらいいなと思いました」――。『最果タヒ展われわれはこの距離を守るべく生まれた、夜のために在る6等星なのです。』は2月13日(土)~28日(日)に愛知・名古屋パルコ西館6階パルコギャラリー、3月5日(金)~21日(日)に大阪・心斎橋パルコ14階 パルコイベントホールと巡回する。チケット販売中。取材・文:岡山朋代
2021年02月15日短歌や俳句のように形式がなくとことん自由な詩の世界。注目の現代詩人、水沢なおさんに詩の魅力と楽しむコツを聞きました。詩に興味はなかったという水沢さんの心を最初に動かした作品は、高校の教科書に載っていた宮沢賢治の「永訣の朝」と吉野弘の「I was born」。「短編小説のようで、切なさと言葉の力強さが印象的で、詩の印象が一変しました。さらに、国語の先生が言った『世の中で一番美しいのは詩です』という言葉が心に残り、詩を書き始めたんです」詩人になって水沢さんが一番感じるのは、「詩はなんでもアリ」ということ。「詩は本当に自由。いろいろな作品があるので、心に響く運命の詩が必ず見つかるはずです。難しそうとイメージで敬遠するのはもったいない。思い切って、広い詩の世界に飛び込んでみてください」五感を刺激される。読み進めるうちにイメージがくっきり立ち上がり、音や匂いまで感じられたり、研ぎ澄まされた言葉に心を射貫かれたり。五感に直接的に響く読み心地は詩ならでは。水沢さんの作品でいえば、湿度をまとった淡い色彩の絵画やSF映画を鑑賞しているような気分にも。「詩は読むというより、感じる、味わう感覚が近い気がします。私が好きな井戸川射子さんの詩は、脈絡のない言葉の連なりのなかに手触りがあって、それが自分の記憶とつながって懐かしい気持ちになります。想起される五感を頼りに詩を楽しんでみて」(水沢さん)属性にとらわれず読める。詩の語り手はひとりの人間とは限らない。モノや動物だったり、複数の語り手が入れ替わったり。そもそも明示されないことも多い。そうした設定を限定しない詩の特性に加え、水沢さんと同世代の作品は、多様性やジェンダーレスの時代を映した「揺らぎ」が宿り、属性がよりあいまいに。「女性であるとか会社員であるとか、自分の立場と関係なく読めるものが多いなと感じています。あえて属性を際立たせないところに普遍的な感情や、優しさも感じられて、読んでいてとても心地がいいです」「わからない」ことを好きになれる。難解なイメージから詩を遠ざけてきた人も多いはず。また詩を理解できないとき、自分の未熟さを感じてしまう…なんてことも。でも「わからなくても『好き』と言えるのが詩の良さ」と水沢さん。「小説や映画は主題が伝わりやすい創り方をしているけど、詩はそうではありません。意味が理解できなくていいんです。なんか好き、なんだか気になるという感覚を大事にして、作品に触れてほしい。好きだけど、ちょっと距離のある感じも詩の魅力だと思うし、その距離がぐっと縮まる瞬間と出合えるのも喜びです」読み手の受け取り方も作品の一部となる。水沢さんいわく、詩は「説明」を削ぎ落として、どんなふうにも読めるように書かれているという。つまり、読み手が解釈できる余地が無限にあるということ。「たまにSNSで私の詩を私の意図とは違う解釈をつけてくれている人を見つけますが、『そんな受け取り方もあるのか!』と吃驚します。その人が言葉と向き合い、その人自身と混ざり合った結果の解釈は、とても興味深いです」読む人それぞれの価値観や経験、そのときの状況によっても受け取り方は千差万別。多様な解釈も含めて詩の豊かさは作られる。すき間時間に楽しめる。小説や映画の鑑賞はある程度まとまった時間が必要だが、詩ならすき間時間で区切りよく読める。決まった時間に一編読むことを日課にしたり、気持ちを切り替えたいときにパッと開いたページの詩を楽しんだり。思い思いの読み方で味わってみよう。「さあ読むぞと、構えなくてもさらっと読めるのがいいですね。私はひと息つきたいときや寝る前などに詩集を開くことが多いです」ハンディな詩集は移動中の読書や旅のお供にもぴったり。お気に入りの詩集を一冊、バッグに入れて持ち歩いてみては。言葉の美しさに浸れる。詩のなかの言葉は、私たちが普段使う伝達の言葉と違い、作者の心のうちを表現するために一字一句磨き抜かれたもの。それゆえ、しなやかで力強く、美しい。「詩を読んでいると、磨かれた言葉のなかに自分がどんどん溶けていく感覚があります。いい意味で自我が消えて、裸の自分で世界にひとり立っているような。この感覚が味わえるのは詩だけだと思うし、私もそういう作品が創れるようになりたいです」言葉の海にたゆたい、新たな自分を発見する。詩はそんな得がたい読書体験をもたらしてくれる。水沢なおさん1995年生まれ。武蔵野美術大学在学時から詩作を始め、第1詩集『美しいからだよ』(思潮社)で2020年の中原中也賞を受賞。“身体性”をテーマに、残酷さをはらむ美しい作風で注目の的に。※『anan』2021年2月10日号より。文・熊坂麻美(by anan編集部)
2021年02月06日榮太樓總本鋪のあめ専門店ブランド・あめやえいたろう(Ameya Eitaro)は、画家の中原淳一とコラボレーションした「中原淳一×あめやえいたろう みつあめ スイートリップ」を2021年1月8日(金)にあめやえいたろう伊勢丹新宿店、銀座三越、榮太樓總本鋪日本橋本店などにて発売する。「中原淳一×あめやえいたろう みつあめ スイートリップ」には、「それいゆ」や「ひまわり」といった女性誌をはじめ、美しく華やかなイラストレーションなどを打ち出した中原淳一のコラボレーションパッケージを採用。3個入りボックスには凛とした赤いスカートの少女のイラストを配し、中原淳一の手掛けた雑誌をイメージしたブック型に仕上げている。フレーバーは、過去販売していた中から人気の高かった「ゆずジンジャー」「ラズベリー」「オレンジ」の3種を限定復刻。フレーバーはそれぞれのパッケージイラストと連動しており、アクセントの効いた「ゆずジンジャー」にはキリッとしたイエローワンピースの女性、優しい甘みの「ラズベリー」には愛らしいピンクワンピースの少女のイラストを配した。また、爽やかな「オレンジ」には、オレンジのワンピースを着た元気いっぱいな少女が描かれている。華やかで遊び心に溢れたパッケージは、バレンタインのギフトや自分へのご褒美にもぴったりだ。【詳細】中原淳一×あめやえいたろう みつあめ スイートリップ発売日:2021年1月8日(金)取扱店舗:あめやえいたろう伊勢丹新宿店・あめやえいたろう銀座三越・榮太樓總本鋪日本橋本店・榮太樓總本鋪公式オンラインストアなど価格:単品 756円、3個入 2,916円 ※価格は全て税込。フレーバー:ゆずジンジャー、ラズベリー、オレンジ
2020年12月25日“いま”の空気をキャッチし、時代の感情を鮮やかに表現する詩人・最果タヒの作品展示に注目が集まっている。展覧会の名は『最果タヒ展われわれはこの距離を守るべく生まれた、夜のために在る6等星なのです。』。東京・渋谷パルコ4階 パルコミュージアムトーキョーでの会期スタート前日に行われた報道内覧会の様子をレポートする。「最果タヒ展 われわれはこの距離を守るべく生まれた、夜のために在る6等星なのです。」チケット情報20代で現代詩手帖賞、中原中也賞を獲得して以来、ツイッターでの作品発表、詩集の映画化(石井裕也監督作『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』)、作詞提供、ホテルとのコラボレーションなど幅広い活動で知られる最果。本展では、詩になる“直前”の言葉が集められた8つの展示空間を通じて、来場者が主体的に詩を体感できるインスタレーションが展開される。特に圧巻だったのは、会場で最大の展示面積を占める《詩になる直前の、渋谷パルコは。》だ。天井から吊るされた無数のモビール群にはそれぞれ脈絡のない断片的なワードが連なっており、来場者は揺らめくモビールを分け入りながら鑑賞する。まるで言葉のシャワーを浴びているような感覚に陥る一方で、展示内を歩き回ると自然と目につき琴線に触れてくる語は限られることに気づく。筆者は、離れた場所にあった「銭湯に行くと、誰もがすこし生まれ変わって」と「みんなあなたに恋をする。」を結びつけたところ、無性にサウナへ行きたくなった。偶然に身を委ねて詩を“自作”するもよし、「これ」という一編を目指してモビールを“厳選”するもよし、他者と一緒に見知らぬ言葉と“遭遇”して語らうもよし。いずれにせよ展示に積極的に関わることは、最果の「作品があなたに読まれ、初めて意味を持つものであってほしい」という願いに寄り添った鑑賞姿勢といえるだろう。このほか、スマートフォンで詩をつくる過程をキャプチャ録画した《詩っぴつ中》では、作品が誕生する瞬間を動画で追体験できる。円環状に綴られた《ループする詩》は、鑑賞者の視界に入った言葉から詩をスタートさせる試み。語順を気にすることなく、倒置法や体言止めで詩は成立するという自由度の高さを実感するだろう。本の背表紙に書かれた言葉を一行とし、棚ごとに一編の詩をなす《詩ょ棚》と同じ空間には《座れる詩》が。丸い椅子に腰かけると詩の朗読が聞こえてくる趣向だ。どの展示も感覚を研ぎ澄ませながら堪能したい。2021年2月13日(土)~28日(日)に愛知・名古屋パルコ西館6階 パルコギャラリー、3月5日(金)~21日(日)に大阪・心斎橋パルコ14階 パルコイベントホールを巡回する。チケット販売中。取材・文:岡山朋代
2020年12月21日日本で初めてトランスジェンダーの女性役を、当事者の俳優を公募して選出した映画『片袖の魚』(仮)の製作が決定。ファッションモデルのイシヅカユウが主演を務めることになった。本作の原案は、16歳で現代詩手帖賞、史上最年少18歳で中原中也賞を受賞して以降もNHK全国学校音楽コンクール課題曲の作詞、エッセイ集の刊行など幅広く活躍する詩人・文月悠光の「片袖の魚」(詩集「わたしたちの猫」/ナナロク社/2016刊に収録)。その詩を、1995年の第4回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭コンペ部門にて審査員特別賞を受賞し、『劇場版 喧嘩番長』シリーズや『はぐれアイドル地獄変』といった商業作品を手掛け、近年では『老ナルキソス』『ホモソーシャル・ダンス』『帰り道』など、自主製作した作品が国内外の映画祭で高い評価を得ている東海林毅が脚本化、監督する。文月悠光の詩を原案にした映画化は、本作が初めて。主人公およびその友人役にトランスジェンダー当事者の俳優を公募し、オーディションが実施された本作。多数の応募者の中から主人公ひかりに選ばれたのは、ファッションモデルで、MVなど映像でも活躍しながら、最近ではTVやラジオなどで自身の体験や意見を発信するなど活動の場を広げているイシヅカユウ。イシヅカさんは、「新しいことに挑戦するのはいつも不安ですが、お芝居の渦中に身を投じ、自分の中にあるものと自分の中に無いものを重ねて一つの像を作る途方もない作業を楽しんでいます。ご期待下さい」と初めての挑戦に意気込みを語る。友人の千秋役には、トランスジェンダーの女優・タレントとして今後より一層の活躍が期待される広畑りか。また、ひかりの同僚役で、猪狩ともか(仮面女子)も出演する。原案の詩人・文月さんは本作を「とても大切な映画」と語り、「文月も監督も主演のイシヅカユウさんも、本作に携わる多くの方にとって『片袖の魚』は大きな『挑戦』になります。それが何より嬉しいです。今はまだ稚魚のような心持ちですが、公開までどうか温かく見守って頂けたら幸いです」とコメントを寄せている。『片袖の魚』(仮)は2020年内に完成、2021年に劇場公開を予定。(text:cinemacafe.net)
2020年12月11日現在、最も注目されている詩人、最果タヒの“詩の展示”『最果タヒ展 われわれはこの距離を守るべく生まれた、夜のために在る6等星なのです。』が、12月4日(金)より12月20日(日)まで渋谷PARCO4階のパルコミュージアムトーキョーで開催。会場内には、鑑賞者が自分の体を使って、会場内を歩き回って体験するインスタレーションとしての詩が展示されている。展示風景最果タヒは1986年生まれ。インターネット上で詩作を開始し、2008年に第一詩集『グッドモーニング』(思潮社、2007)で中原中也賞を、2015年『死んでしまう系のぼくらに』(リトルモア、2014)は現代詩花椿賞をそれぞれ受賞。さらには2016年刊行の詩集を原案にした『夜空はいつでも最高密度の青色だ』が映画化され、2020年には「さいたま国際芸術祭2020」に参加するなど、言葉を使った表現活動で縦横無尽に活躍中だ。《ループする詩》の一部同展ではさまざまな形で最果の詩がインスタレーションとなって展示されている。たとえば、詩や言葉が書き込まれた壁と、両面に言葉の断片が印字されたモビールが、ゆらゆらと動くインスタレーション《詩になる直前の、渋谷パルコは。》は、来場者の動く方向や向きで言葉の並びが無限に変わっていく。来場者は、彼女の言葉の世界に分け入るために、上げる、しゃがむ、など通常の「読む」動作とは異なる動きをすることが求められる。いつもとは異なる言葉との向き合い方をすることで、来場者には新しい発見や感覚がもたらされるだろう。《詩ょ棚》《詩っぴつ中》本の背表紙やスマートフォンの液晶などを使ったインスタレーションからは、言葉が書物だけでなく、あらゆるところで用いられていること、そしてその場からでも詩や芸術があるということにも気付かされる。渋谷PARCO内では、ミュージアムだけではなく、東急ハンズ側の外壁を使って幅6メートルを超えるアートウオール「初雪の詩」を展示、5階にある「Root F」では、デジタル技術を用いて、長さ約18mの空間通路の床に最果の詩が展示される予定。また。地下1階の「甘味 おかめ」では、最果の詩の世界を和菓子で表現した特別メニュー、「冬の紫の詩」(950円)が登場する。このほか、南果歩や和田彩花などが登壇するトーク+朗読イベントも開催される。詩や文学を“体感する”といういままでにない体験、そして新しい発見ができる貴重な展示だ。取材・文:浦島茂世【開催情報】『最果タヒ展 われわれはこの距離を守るべく生まれた、夜のために在る6等星なのです。』12月4日(金)~12月20日(日)、渋谷PARCO4階のPARCO MUSEUM TOKYOにて開催
2020年12月04日「中原淳一のはじめての、ふろく展」が、東京・青山にあるほぼ日刊イトイ新聞(ほぼ日)のショップTOBICHI2(とびち2)で、2020年9月11日(金)から9月27日(日)まで開催される。中原淳一の雑誌“ふろく”を展示中原淳一は、人気画家として一世を風靡したアーティスト。戦後1年目の1946年、少女雑誌『それいゆ』を創刊し、続くように『ひまわり』『ジュニアそれいゆ』などを発刊。戦後の気持ちにも余裕も持てない時代に、当時の少女たちに希望を与えた中原淳一の作品は、キラキラ輝く特別なものだった。「中原淳一のはじめての、ふろく展」では、ふろくにフォーカス。中原淳一が活躍した少女雑誌『それいゆ』『ひまわり』から約50点のふろくを厳選して展示する。また、画家、イラストレーター、編集者としてだけでなく、アートディレクター、スタイリストと多彩な才能を発揮した中原淳一に焦点を当て、レターセット、詩集、人形の作り方の指南書といった“乙女心をくすぐる”アイテムも紹介する。中原淳一グッズ販売も会場となるTOBICHI2、さらに渋谷パルコ4F「ほぼ日カルチャん」では、中原淳一のグッズを販売。一筆箋、シールセットといった文具から、レトロでかわいいがまぐちポーチなどの雑貨まで、さまざまなアイテムを揃えている。中原淳一デザイン「ほぼ日手帳2021」中原淳一のイラストを表紙にした「ほぼ日手帳2021別注版weeks」も展開。雑誌『それいゆ』で描いたファッション画を表紙にした手帳は、巻末のおまけページに、中原淳一に関するコンテンツを掲載した。この「ほぼ日手帳2021別注版weeks」は、展覧会会場、渋谷パルコ4F「ほぼ日カルチャん」に加えて、中原淳一のショップ「それいゆ」でも発売される。さらに、TOBICHI2と渋谷パルコ「ほぼ日カルチャん」では、「それいゆ」で受注販売している復刻ワンピースを展示&受注販売。TOBICHI2では「スカートとタイ付ブラウスのセット」を、渋谷パルコ「ほぼ日カルチャん」では「ケープカラーワンピース」を取り揃える。【詳細】「中原淳一のはじめての、ふろく展」開催期間:2020年9月11日(金)~9月27日(日) 11:00〜19:00会場:TOBICHI2(とびち2)住所:東京都港区南青山4-28-26入場料:無料■中原淳一グッズ発売日:2020年9月11日(金)取扱店舗:TOBICHI2(とびち2)「ほぼ日カルチャん」住所:東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷パルコ4F・一筆箋506円(税込)・はなのシール660円(税込)・コスメポーチ3520円(税込)・がまぐち1870円(税込)■ほぼ日手帳2021別注版weeks 2,900円+税販売場所:TOBICHI2、渋谷パルコ4F「ほぼ日カルチャん」、中原淳一のショップ「それいゆ」、オンラインストア「それいゆ」
2020年09月12日株式会社マッシュビューティーラボが展開する「F organics(エッフェオーガニック)」は新スキンケアラインを8月26日発売いたします。※8月19日コスメキッチン、ビープル バイ コスメキッチンにて先行発売満ちる肌。導け、わたし。子どもの頃、どんな大人になりたかった?素敵な人。きれいな人。明るい人。つよい人。いつも笑顔でいられる人。幸せな人。最初は誰かにそう思われることが大切だったかもしれないけれど、泣いたり迷ったり笑ったりしながら、わたしたちはそれらを決めるのは自分自身なのだと知りました。そして大人になった今、この「人」の部分を「肌」にしてみると、まるで、これからずっと一緒に生きていく、もうひとりの自分を見つけたようなときめきに出会う。素敵な肌。きれいな肌。明るくて、強くて、幸せな肌。善いものに満ちて、いつもわたしのそばにいて、優しく励ましてくれるもの。もうひとりの自分である大切な肌には、どんな夜もゆっくり休んでほしい。上質の水分にたっぷりと身をひたし、深い呼吸をして、うっとりするような艷やかな膜にどんなときも守られていてほしい。力を抜いて、柔らかく、健やかなあなたでいてほしい。そして、これからを一緒に生きていく、わたしをずっと見つめてほしい。そのためにわたしができること。今日からわたしに、できること。川上 未映子 プロフィール大阪府生まれ。2007年、デビュー小説『わたくし率イン歯ー、または世界』が第137回芥川賞候補に。同年、第1回早稲田大学坪内逍遥大賞奨励賞受賞。2008年、『乳と卵』で第138回芥川賞を受賞。2009年、詩集『先端で、さすわ さされるわ そらええわ』で第14回中原中也賞受賞。2010年、『ヘヴン』で平成21年度芸術選奨文部科学大臣新人賞、第20回紫式部文学賞受賞。2013年、詩集『水瓶』で第43回高見順賞受賞。短編集『愛の夢とか』で第49回谷崎潤一郎賞受賞。2016年、『あこがれ』で渡辺淳一文学賞受賞。「マリーの愛の証明」にてGranta Best of Young Japanese Novelists 2016に選出。他に『すべて真夜中の恋人たち』や村上春樹との共著『みみずくは黄昏に飛びたつ』、短編集『ウィステリアと三人の女たち』など著書多数。『早稲田文学増刊 女性号』では責任編集を務めた。最新刊の長編『夏物語』は第73回毎日出版文化賞を受賞。CALMING LINECosme Kitchen で6年連続売上NO.1* 化粧水で人気の「F organics(エッフェオーガニック)」からあらゆるゆらぎ肌にもアプローチできるコスモス認証取得の新スキンケアライン”CALMING LINE(カーミングライン)”を発売いたします。* 2019年1月1日~12月10日 自社調べ理想は揺らぎ知らずの安定したタフなツヤ肌。いつだって突然訪れたかのように感じる肌荒れは、突然ではなく、段階的に荒れていく。今回はそんなサインに気付き、受け止め、寄り添う新カーミングライン。どんなゆらぎ肌にもアプローチできる処方を追求し、厳選した国産成分と芯からほぐれるような香りにこだわり、オーガニックコスモス認証を取得しました。さらに、容器は独自の質感を醸し出す砡硝子を採用いたしました。今回の商品を通して、エッフェオーガニックがお客様のお届けしたい想いを作家川上未映子さんの素敵な言葉と共にお届けいたします。<About Products>エッフェオーガニック カーミング オイル 30mL 4,500円(税抜)さらっとしながらも肌が満ちる絶妙バランスのテクスチャーで、肌なじみを追及したオイル美容液。バリア機能が低下し、ゆらぎがちな肌もオーガニックツバキ種子油がしっかりと油分を補うことで、保湿機能とバリア機能をサポートし、健康的な皮脂バランスに整え、美しい光が溢れ出すような明るい印象の肌へと導きます。エッフェオーガニック カーミング ローション 120mL 3,500円(税抜)バリア機能が低下してしまった肌にも厳選した植物がもつ上質な水分が肌に優しくなじみ、角層のすみずみまで浸透。素早く保湿しながら潤いを持続させる、満ちる化粧水。オーガニックのミシマサイコ*1や甘草根*1から抽出される成分がキメの整った透明感*2のある肌へ導、使い続けることで潤いに満ちた肌を叶えます。*1整肌成分(ミシマサイコ花/葉エキス、グリチルリチン酸2K)*2うるおいを与えて透明感を保つケアエッフェオーガニック カーミング クリーム 40g 4,500円(税抜)柔らかでとろけるようなテクスチャーが肌に吸い込まれるように素早くなじみ、優しく肌をホールドするクリーム。肌に適した水分、油分を与え、使い続けることにより“うるおいバランス”を整え、バリア機能をサポート。潤いに満ちたふっくら柔らかな肌を叶えます。砡硝子白さの中に透明感を感じ、柔らかな光を放つガラス容器。どこか凛としていて安定感を感じさせる。優しさに包まれた感覚にさせる。そして、かすかな色香を醸し出す。今回使用した容器は“砡硝子”。砡硝子は独自の製造方法で塗装では表現できない質感が魅力のひとつ。そのうえ、無公害溶解炉と呼ばれる電気炉で製造しているため、CO2の排出量が少なく環境への配慮も妥協をしない工場で製造されています。コスモス認証ヨーロッパ各国の有機認証基準を統一し、2010年に誕生したオーガニック&ナチュラル化粧品の国際基準。・有機農業、生物多様性を尊重した原材料の使用を促進する・循環可能な形で入手した自然由来原料と環境に優しいもの使用・人間と地球環境に配慮したものづくりを行う・”グリーンケミストリー”(生態系に与える影響を考慮し、持続・成長可能な科学工業のあり方を提言する環境運動)の考え方にそった商品開発を行う■BRAND SITE: ■Instagram: 企業プレスリリース詳細へ本記事に掲載しているプレスリリースは、株式会社PR TIMESから提供を受けた企業等のプレスリリースを原文のまま掲載しています。FASHION HEADLINEが、掲載している製品やサービスを推奨したり、プレスリリースの内容を保証したりするものではございません。掲載内容に関するお問い合わせは、株式会社PR TIMES()まで直接ご連絡ください。
2020年08月20日おとな向け映画ガイド今週は、おとなが観逃せない!3本をご紹介します。ぴあ編集部 坂口英明20/7/26(日)イラストレーション:高松啓二今週のロードショー公開は18本(ライブビューイング、映画祭企画を除く)。連休後でもあり、全国100スクリーン規模以上で拡大公開される作品はなく、すべてミニシアター系の作品です。今回はその中から2本、もう1本は上映中から、ぜひ観逃さないで、という3本をご紹介します。『海辺の映画館-キネマの玉手箱』大林宣彦監督最後の作品がいよいよ公開されます。当初予定されていたのが4月10日。コロナ禍のため上映延期となったのですが、その公開するはずの日に他界されました。まさに、文字通りの遺作。しかもその内容たるや、映画で遺言を残されたとしか思えないほど、メッセージは明確で、映像表現は実験映画の精神に満ち満ちた「ぶっとんだ」ものでした。海辺の町にある古い映画館「瀬戸内シネマ」がいよいよ閉館。その最後の日のプログラムは「日本の戦争映画」オールナイト上映会です。老若男女で満員の館内。画面に見入る3人の若者は熱中するうち、スクリーンの世界、つまり日本が体験したさまざまな争いの場に入っていってしまいます。あるときは、新選組が跋扈する幕末の京都、戊辰戦争の会津、さらに日中戦争、沖縄戦、原爆投下直前の広島……。舞台は監督の生まれ故郷・尾道。代表作『転校生』『時をかける少女』『さびしんぼう』は“尾道三部作”とよばれています。この作品は、20年ぶりにその尾道でロケをし、制作されました。劇中には、少年時代に初めて作った手描きアニメの思い出も再現されますし、監督に影響を与えた映画や、中原中也の詩の引用など、自伝的要素も盛り込まれています。同じく尾道を舞台にした『東京物語』の小津安二郎監督も登場します。その小津監督を演じているのは手塚眞。前知識がないとわかりません。そんな異色のキャスティングは、映画のいたるところにみられます。それはまるで「キネマの玉手箱」のようです。例えば、幕末の世界にとべば、近藤勇は尾美としのり、武田鉄矢が坂本龍馬、中岡慎太郎に柄本時生、西郷隆盛は村田雄浩、なんと大久保利通役は稲垣吾郎です。そしてその脇でお茶をたてているのは千利休役の片岡鶴太郎、おなじみ常盤貴子、根岸季衣、入江若葉……。きりがないのでやめますが、大林作品ゆかりの俳優たち総出演です。3時間近い大作です。パロディで茶化しながら、ファンタジックな映像を駆使し、思いのすべてをここにこめた、そんな映画作家の熱い気持ちが伝わってくる、映画史上にない映画による遺書です。『剣の舞 我が心の旋律』『天国と地獄』や『剣の舞』、運動会徒競走にかかる曲、あれ、どなたが選んだんでしょうね。聴くとやたら元気がでて、逃げ足が早くなりそうな『剣の舞』は、もともと、第二次大戦下のソ連で、アルメニアを舞台にしたバレエ『ガイーヌ』のためにアダム・ハチャトゥリアンが作曲したのだそうです。世界でも屈指の演奏回数といわれるその名曲の、誕生秘話をもとにオリジナル脚本で映画化しています。もちろんアルメニア人ハチャトゥリアンの幼年期の思い出などは背景として描かれますが、映画は『剣の舞』が作られる前後2週間に絞り込んだスト―リーになっています。戦時下、レニングラード国立オペラ劇場も地方へ疎開しています。10日後に控えたバレエ『ガイーヌ』のリハーサル中。検閲にやってきた文化省の役人から、時節柄、士気高揚のため、勇壮な曲を付け加えるように命じられます。芸術をプロパガンダの道具としか考えない理不尽な文化官僚に抗いながら、ハチャトゥリアンは、ある着想がひらめき、開幕の前夜、この曲をひと晩で書き上げるのです。実際に親しかったといわれる作曲家、ショスタコーヴィチやオイストラフも登場します。親友ふたりとの会話では、不自由な国家のなかで、どう生きるかが語られます。ハチャトゥリアンに恋するバレリーナ、同郷の従者、そして対立する文化官僚など、わかりやすいキャラの登場人物が織りなす人間模様と差し迫った時間のなかで展開する曲づくり。クラシック好きでなくても大満足のエンタテインメント映画です。首都圏は、7/31(金)から新宿武蔵野館他で公開。中部は、7/31(金)から名演小劇場で公開。関西は、8/7(金)からテアトル梅田で公開。『コンフィデンスマンJP プリンセス編』公開初日の23日、渋谷の映画館で観ました。さすがの人気シリーズ、コロナ禍対応で座席数を絞っていますが満員の盛況。映画としては2作目。前作よりさらに面白いです。長澤まさみのダー子、東出昌大のボクちゃん、小日向文世扮するリチャードというメイン3人に、アシスタントの小手伸也や「子猫ちゃん」とよばれる協力スタッフも加えたおなじみの詐欺師チームの、国際的犯罪プロジェクト。今回狙いを定めたのは、シンガポールの大富豪フウ一族の後継者争い。当主の死後、遺書に書かれていた全財産の相続者は3人の実子ではなく、ミシェルという隠し子だった―。ダー子の計画は、このミシェルをでっちあげ、遺産をいただく、というもの。その替え玉ミシェルになった、コックリ(関水渚)のシンデレラ・ストーリーでもあります。『男はつらいよ』をはじめ、愛されるシリーズものの楽しさは、登場人物のキャラクターがわかりやすく、彼らの「お約束」やフォーマットがかっちりできていること。それでいて、初めて観ても楽しめる。その点このシリーズは完璧ですし、マンネリにもなっていません。前回もそうでしたが、舞台がアジアの観光地というのも成功の秘訣と思います。シンガポールのフウ一族にしても当主役の北大路欣也をはじめ、ふたりの息子を日本人の古川雄大や白濱亜嵐が演じても無理を感じません。逆にギャグがかっていて笑えます。それにしても、長女役に台湾の元アイドル、ビビアン・スーを起用してくるとは驚きました。45歳って、信じられないキュートさ。やや悪役ですけど。執事役の柴田恭兵も渋いです。またまたでてくる日本のマフィア・赤星の江口洋介や、竹内結子、石黒賢、広末涼子といったシリーズ常連もなるほど、それぞれに見せ場あり。そして、プレイボーイの詐欺師ジェシーを演じた三浦春馬は欠かせない存在でした。とても惜しまれます。
2020年07月26日三上博史と黒木瞳が、今夏放送予定の十三代目市川團十郎白猿襲名披露特別企画「桶狭間 OKEHAZAMA~織田信長~」(仮)に出演することが分かった。本作は、市川海老蔵の十三代目市川團十郎襲名を記念した特別企画ドラマ。大森寿美男が脚本を務め、今川義元の大軍を数的に劣る織田軍が打ち破り、日本史上最大の逆転劇と謳われ、織田信長を一躍戦国時代の主役に押し上げた伝説の一戦“桶狭間の戦い”を題材とした本格時代劇だ。すでに、海老蔵さんが織田信長を演じることが決定しているが、今回新たに三上さんと黒木さん、2人の出演が明らかに。三上さんが演じるのは、信長にとって最大の脅威となる駿河の大大名・今川義元。大軍を率いて圧倒的有利と思われていた桶狭間の戦いにおいて、まさかの敗北を期した人物。信長との緻密な駆け引きや、その壮絶な最期にも注目だ。出演に関して三上さんは「これまで、実在の人物を演じる機会は何度かありましたが、その都度、神経をすり減らしてきました。野口英世、宮沢賢治、中原中也、安倍晴明、鳥羽上皇、どなたにもお会いしたことがないのはもちろん、史実は断片しか教えてくれません。一人の世を生きた人物として、そしてその時代背景をみなさまに体感していただくには、どうしたらよいのか?それぞれの魂から叱責(しっせき)されないように、ありったけの想像力と直感と大胆な表現を駆使して、今回、今川義元に臨みます」と思いを明かし、今回海老蔵さんと初共演となる三上さんは「撮影のその時、そこに、ぼくらではなく、織田信長と今川義元がふわりと立ち現れればよいなぁ、と心から願っています」とコメントしている。そして、黒木さんが演じるのは、信長の実母・土田御前。幼児期の信長は、幾人もの乳母の乳首をかみ切ったと言われるほどとても勘が強かった。土田御前は信長には手を焼く一方で、弟・信勝には手放しで愛情を注いだといい、本作では信長の弟や母との歪んだ感情も描かれる。「昨年10月、市川海老蔵さんと、舞台『オイディプス』で、妻でありでも本当は母だったという役を演じておりましたので(お話がきたときは)何となくしっくりきました」とオファー時の心境を明かした黒木さんは、「土田御前は、鬼才な信長をどう扱っていいのかわからない・・・どうしても弟の方に愛情が偏ってしまう母親で、そんな二人の息子との距離感を大切にしました」と演じるにあたって気をつけた点を語る。そして「数々映像化されている“織田信長”の中でも、今回は“桶狭間”に集約されているところが、最大の見どころだと思います。“うつけ”と言われた信長が、家臣をまとめて今川にたち向かっていく。そこまでの過程が描かれていることがとてもわかりやすく、“信長”という人物を描いていると思います」と見どころを述べた。<あらすじ>1560年、清洲城。27歳の織田信長(市川海老蔵)が「敦盛」を舞っている。同じとき、今川軍の先鋒・松平元康(後の徳川家康)は織田軍の砦の前でその采配を振るうときを待っていた。駿河の総大将・今川義元(三上博史)が織田家の領地・尾張を我が物にするべく、二万の大軍をもって侵攻してきたのだ。前夜、今川軍に対抗する策を訴える家老衆をあしらった信長は、翌早朝にたった5人の小姓を従えて清洲城から姿を消した。恐れをなして逃げたのだという生母・土田御前(黒木瞳)に対して、濃姫は決して逃げたりはしないと言い切り信長の身を案じる。信長は木下藤吉郎など信用できる者たちを動かし今川軍の情報を集め、義元が大高城に向かうのではなく、織田信長軍と戦う構えで桶狭間にいることを突き止めた。やがて、織田軍本陣に家老衆が軍勢を率いて現れたが、その数は二千ほどで、今川軍との差は圧倒的だった――。十三代目市川團十郎白猿襲名披露特別企画「桶狭間 OKEHAZAMA~織田信長~」(仮)は夏、フジテレビにて放送予定。(cinemacafe.net)
2020年03月16日詩人・最果タヒの個展「最果タヒ展 われわれはこの距離を守るべく生まれた、夜のために在る6等星なのです。」が、2020年8月1日(土)から9月13日(日)まで、福岡市の三菱地所アルティアムにて開催される。※京都文化博物館 別館ホールにて開催される予定だったが中止となった。(2020/6/16更新)現代詩人・最果タヒ、京都文化博物館で関西初の個展中学生の頃よりインターネット上で“言葉”の発表をスタートし、2006年に投稿作品が第44回「現代詩手帖賞」を受賞。翌年には第一詩集を刊行し、第13回「中原中也賞」に選ばれるなど、詩人として高い評価を得ている最果タヒ。さらにはSNSの活用、作詞、詩集の映画化、商業施設とのコラボレーション、空間を使った前衛的な作品発表など、その多岐に渡る表現活動でより一層の注目を集めている現代の詩人だ。そんな最果タヒにとって関西初の個展となる本展では、2019年2月に横浜美術館で開催された「氷になる直前の、氷点下の水は、蝶になる直前の、さなぎの中は、詩になる直前の、横浜美術館は。―― 最果タヒ 詩の展示」で発表したインスタレーションと新作の展示を、重要文化財である京都文化博物館 別館ホールを舞台に行う。詩×アート、新たな言葉の体験読者が会場を歩き回り、空間全体で言葉を体感するインスタレーションの中でも特に重要な位置付けの作品となるのが、天井から多数の言葉が書かれたモビールを吊るす「詩になる直前の、京都文化博物館は。」。表裏に異なる詩の断片が記されたモノトーンの紙片が、静かに揺れ動きながらいくつもの言葉の連なりを生み出し、読者自身がその偶然の中から詩を切り取っていくという、新たな言葉の体験が堪能出来る作品だ。会場には、このほかにも書き下ろしの作品を含む自らの詩を大胆に断片化し、空間いっぱいに展開。「作品は誰かに読まれることで、初めて意味を持つものであってほしい。」そう願う最果タヒによる「詩になる直前」の言葉たちを追いかける体験を通して、“言葉”との新たな出会いを楽しんでみてはいかがだろう。最果タヒからメッセージ ーー「言葉に書かされている」言葉は、常に運動をしている。何億人もの人がその言葉を用い、それでいて、それぞれが少しずつ違った意味や印象を、言葉の向こうに見出している。だからこそ言葉は、刻々と変化し、運動を続けている。わたし一人が、言葉を一方的に、道具として用いることなどできず、常に、言葉が抱える無数の意味や価値の渦に巻き込まれていく。そのコントロールのできなさ、言葉に振り回される瞬間に、わたしは「言葉に書かされている」と感じます。それは時に、わたしよりも深く「わたし」を捉える言葉となる、わたしを飛び越えた、別の何かへと変貌する言葉となる、それこそが、わたしにとっての「書く喜び」です。言葉がわたしの代弁者として、世界へ出ることなどありません。わたしはいつも置き去りにされ、それこそが痛快であるのです。知らない自分に、言葉で会うこと。それは、自分の底さえ突き破り、その向こうの、自分ですらないものへと、繋がることだ。だからこそ言葉は、書かれ、他の誰かに読まれることをじっとじっと待っている。詩の展示。言葉が、わたしを飛び越える。それは、「読む」瞬間もきっと同じです。読むことは、与えられた言葉を受動的に読むのではなく、その言葉を自分だけの言葉へと変容させていく行為だと思う。そのとき、言葉の変化は、読むその人の予想を、そしてその人自身を、時に追い越していくだろう。それは「書かれた言葉」のスピードであると、読み手は思うのかもしれない。けれど、あなたも加速している、あなたの言葉が、加速している。そのスピードを、肌で、気配で、空間として、感じられる場所を、私は「詩の展示」と呼んでいます。われわれはこの距離を守るべく生まれた、夜のために在る6等星なのです。あなたしか立つことのできない確かな星から、どうか、言葉を見に来てください。開催概要「最果タヒ展 われわれはこの距離を守るべく生まれた、夜のために在る6等星なのです。」日程:2020年8月1日(土)〜9月13日(日)会場:三菱地所アルティアム(福岡市中央区天神 1-7-11 イムズ 8F)※会期中休館日なし※2020年6月17日(水)〜7月5日(日)で開催予定だった京都への巡回は中止。【問い合わせ先】キョードーインフォメーションTEL:0570-200-888(10:00〜18:00)
2020年02月03日有楽町マリオンにある「コニカミノルタプラネタリア TOKYO」では、2020年1月31日(金)から新しいプラネタリウム作品『東京の天の川を忘れない』の上映が始まります。宮沢賢治・中原中也・竹久夢二が描く世界観明治モダン・大正ロマンを代表する文化人である宮沢賢治・中原中也・竹久夢二。彼らが生きた時代には、東京都心でも肉眼で天の川を見ることができたと言います。夜空に浮かぶ天の川や降るような星たちを眺めた3人の文化人は、それを小説、詩、絵画のなかでそれぞれ表現しました。現代まで多くの人に読み継がれ、鑑賞された長く愛される作品を、世に残した文化人たち。『東京の天の川を忘れない』では、彼らの感性を通して夜空を眺め、都会ではもう肉眼では見ることができなくなってしまった天の川と星々に想いを馳せるノスタルジックな物語となっています。芥川賞作家・又吉直樹さんがナレーションを担当作中でナレーションを務めるのは、お笑い芸人であり芥川賞作家でもある又吉直樹さん。数々のメディアでその才能を発揮する現代の文化人として、レトロでロマンチックな天文の世界を案内します。さらに、作品を盛り上げる挿入歌には、歌手 椎名林檎さんの「丸ノ内サディスティック(EXPO Ver.)」を起用。東京という街の佇まいを表現するにはぴったりの選曲です。ローレフォトで魅せる鮮やかで美しい映像また映像には、様々な場所で撮影した写真を絵画のように再構成して”架空の世界”を表現する「ローレフォト」という手法を採用。初めてみる景色なのにどことなく懐かしい気持ちを抱く、なんとも不思議な世界へ誘われます。映像制作は、ローレフォト・アーティストの寅貝真知子さんが担当。ノスタルジックな世界に足を踏み入れたような体験は「コニカミノルタプラネタリア TOKYO」ならでは!ネオンの明かりが消えて街が暗闇に包まれるとき、プラネタリウムドームの中にはかつての芸術家と文豪たちも見上げた東京の星空が輝き出します。ノスタルジックに天の川を眺めるひととき、ぜひ楽しんでみてください。 text: Mizuki Igarashi
2020年01月27日ルタオのチョコレート専門店「ヌーベルバーグ ルタオ ショコラティエ」と画家・中原淳一がコラボレーション。限定パッケージのチョコレートやクッキーなどを、2020年1月から2月にかけて順次、全国の催事会場などで期間限定発売する。「それいゆ」や「ひまわり」など独自の女性誌を創刊し、モダンでおしゃれな少女達を描いてきた中原淳一の、華やかなパッケージに包装されたスイーツが登場。少女の横顔をあしらった「中原淳一コラボパッケージ テノワール(16枚入)」は、ダージリンが香るチョコレートを香ばしいクッキーでサンドしたテノワールの詰め合わせだ。シルエットデザインがシックな「中原淳一コラボパッケージ ショコラ ド デコ」は、チョコレート4種のセット。ピスタチオやフランボワーズフレーバー、スイートチョコレート、ミルクチョコレートに、1つ1つ手作業でナッツやドライフルーツをトッピングした。生乳を使ったミルクソースが、まろやかな味わいを引き立てる。「中原淳一コラボパッケージ ルシードル」は、北海道余市産りんご100%のシードルを使ったチョコレート。柔らかな口どけとともに、りんごの風味が広がっていく。チャーミングな黒猫を配した、アイキャッチなパッケージデザインにも注目だ。【詳細】中原淳一×ヌーベルバーグ ルタオ ショコラティエ・中原淳一コラボパッケージ テノワール(16枚入) 1,782円(税込)・中原淳一コラボパッケージ ショコラ ド デコ 1,782円(税込)・中原淳一コラボパッケージ ルシードル 1,404円(税込)■催事出店詳細・2020年1月18日(土)~2月14日(金) 西武池袋本店、西武岡崎店・2020年1月22日(水)~2月14日(金) 高島屋横浜店、JR伊勢丹京都店、京都タカシマヤ、松坂屋静岡、大阪タカシマヤ、大丸神戸・2020年1月23日(木)~2月14日(金) 遠鉄百貨店、そごう大宮・2020年1月23日(木)~2月16日(日) そごう千葉・2020年1月24日(金)~2月14日(金) そごう広島・2020年1月27日(月)~2月24日(月) エキュート東京・2020年1月29日(水)~2月14日(金) 柏タカシマヤ、日本橋タカシマヤ、岩田屋本店・2020年1月30日(木)~2月14日(金) 阪神梅田本店、高崎タカシマヤ、山形屋鹿児島・2020年2月1日(土)~2月14日(金) 東急渋谷店、阪急博多店、マルイ有楽町店、小田急新宿、小田急町田、鶴屋百貨店、大和香林坊、大和富山・2020年2月7日(金)~2月14日(金) 仙台三越
2020年01月23日プラネタリウム作品『東京の天の川を忘れない』が、有楽町のコニカミノルタプラネタリア TOKYOにて2020年1月31日(金)から上映される。『東京の天の川を忘れない』は、宮沢賢治、中原中也、竹久夢二といった文化人が残した小説や詩、絵画といった作品を通し、かつて東京都心でも天の川を見ることができた時代をノスタルジックに表現するプラネタリウム作品。今では都会で見ることができなくなった星々に思いを馳せる。ナレーションを務めるのは、お笑い芸人であり、芥川賞作家でもある又吉直樹。挿入歌には、椎名林檎の「丸ノ内サディスティック(EXPO Ver.)」を使用し、東京のどこか懐かしい星空を演出する。また、様々な場所で撮影した写真を絵画のように再構成し、架空の世界を表現した「ローレフォト」も登場。東京の名所の写真を重ね合わせて見せることで、まるでその世界に足を踏み入れたかのような不思議な体験を提供する。【詳細】プラネタリウム作品「東京の天の川を忘れない」開催期間:2020年1月31日(金)~ ※上映終了時期未定※オンライン事前購入は2020年1月17日(金)より開始。※各回約40分※曜日、時節によって上映時間は異なる。詳細は公式サイトに記載。場所:コニカミノルタプラネタリア TOKYO DOME2(プラネタリウムドーム)住所:東京都千代田区有楽町2-5-1 有楽町マリオン 9階■料金・銀河シート ペア 4,200円/シート、シングル 2,100円/シート・一般シート 大人(中学生以上) 1,600円/人、子ども(4歳以上) 1,000円/人※ペアは定員2名、シングルは定員1名※銀河シート(ペア)について、1シートの料金に2名分の鑑賞料金を含む。1名で利用の場合でも1シートの料金。※小学校就学前の児童は1名まで定員に含まず利用可能。ただしヒーリングプラネタリウムを除く。【問い合わせ先】インフォメーションTEL:03-6269-9952(10:00~19:00)
2019年12月22日「恋愛、結婚、出産ってセットのように思われているけれど、本当はバラですよね。なのにセットにするからややこしいことになる」と、川上未映子さん。新作『夏物語』は女性の生き方、そして生命について真摯に向き合った長編。芥川賞受賞作『乳と卵』の登場人物たちに再び会える一作でもある。「女の人って子どもの頃からいつかお母さんになると意識づけられる。でも今は昔のように何歳くらいで結婚して何歳で親になってというモデルもなくなっている。これまで当たり前とされてきたものでも自分で考え直さないといけない。選択と決断の連続ですよね」38歳の小説家、夏子は独身だが「自分の子どもに会いたい」という思いを抱く。しかし彼女は恋愛をしたいわけじゃない。「自分の子どもを持ちたいだけなのに、誰かのことを好きにならないといけないの?セックスしないといけないの?という問題がある。男の人のことを重要視していない女性や、女らしさに自分を預けていない人は母親になれないの?と思います。夏子なんて裕福でもないし、親になれる条件は一個もない。子どもを持ちたいという時に、何を足場に決断していいのか、というのはありますよね。そうしたなかで夏子は、望みをどうにか実現しようと、逡巡し、葛藤しながら成長していく」他に結婚して窮屈な思いをしている友人や結婚や出産に興味のなさそうな編集者、シングルマザーの作家などさまざまな立場の女性の声も響いてくる。さらに、精子提供で生まれた男女も登場、“生まれてくること”についても考えさせられる。「死は取り返しのつかないことだから、人は想像力を働かせる。同じように命が生まれることにも想像力を働かせたい気持ちがありました」川上さんならではの流麗な文章、軽妙な会話も楽しめる逸品。母になる/ならない立場か、あるいは子どもの立場か、あるいは…読む人によって、誰のどんな声が心に突き刺さるかは違ってくるはず。「年を重ねていくと、同じ本でも感じ方が変わってくる。いろんな人にずっと読んでもらえる本になるといいなという気持ちで、いろんなことを漫才ばりの面白い形にしました。読み倒してもらえたら嬉しいです」かわかみ・みえこ1976年生まれ。2008年『乳と卵』で芥川賞、’09年、詩集『先端で、さすわ さされるわ そらええわ』で中原中也賞、’13年『愛の夢とか』で谷崎潤一郎賞など、多数の賞を受賞。『夏物語』第一部は『乳と卵』の舞台だった2008年、第二部は’16~’19年の物語。主人公の夏子はもちろん、姉の巻子や姪の緑子たちも再び登場。文藝春秋1800円※『anan』2019年9月18日号より。写真・土佐麻理子(川上さん)中島慶子(本)ヘア&メイク・吉岡未江子インタビュー、文・瀧井朝世(by anan編集部)
2019年09月17日18歳という若さで中原中也賞を受賞した詩人の文月悠光さん。詩のみならず、今の世を生きる女性として、誰もが感じる“生きづらさ”や“孤独”を綴ったエッセイ集も話題です。このたび、そんな文月さんによる、12星座別「恋愛詩」の連載がスタート。毎月、月ごとの星座を主人公とした一篇を執筆していただきます。さらに、その詩をモチーフとしたコイズミリカさんの美しいイラストもお届け!切なくて愛おしくて胸がキュンとする…詩とイラストのコラボレーションをお楽しみください。■獅子座生まれのあなたへまなざしの記憶呼び声に振り向くたび、ひるがえる予感の数々。手放せない選択肢に、胸は惑いつづける。あなたはわたしを呼ぶだけでいい。それがプロローグの合図。「あなた」と出逢うごとにわたしは頭の中の筋書きを結び直す。彼らはわたしの空洞を何食わぬ顔で通り過ぎていく。みんなの恋が全部同じならば、物語はもっと単純に済んだだろう。今は離れ離れだとしても、かならずこの地平線上で逢える。恋は何度でもよみがえる。それは、いちど地上に落ちた陽がまた輝きながらのぼるのと同じこと。夜明けの地平線に立てば光がひとすじ滲みゆく。黄色い太陽、わたしから目を離さないで。燃える瞳で見抜いてよ。頼りないわたしの肩を力いっぱい照らして、抱き寄せるの。あなたは、全物語の宛先なのだ。言葉や、ちょっとした仕草もあなたが見ることで完成する。確かにわたしの一部であった、そのまなざしだけが今も胸に焼きついて離れない。終わらない記憶のとびらを叩き、不意にわたしの名を呼ぶことがある。☆この連載をするにあたって占星術家・まついなつき先生に西洋占星術をレクチャーしていただきました。プロフィール文月悠光(ふづき・ゆみ)詩人。1991年北海道生まれ。16歳で現代詩手帖賞を受賞。高校3年の時に発表した第1詩集『適切な世界の適切ならざる私』(思潮社)で、中原中也賞、丸山豊記念現代詩賞を最年少で受賞。詩集に『屋根よりも深々と』(思潮社)、『わたしたちの猫』(ナナロク社)。近年は、エッセイ集『洗礼ダイアリー』(ポプラ社)、『臆病な詩人、街へ出る。』(立東舎)が若い世代を中心に話題に。NHK全国学校音楽コンクール課題曲の作詞、詩作の講座を開くなど広く活動中。コイズミリカイラストレーター。1989年生まれ。2012年 東京工芸大学デザイン学科卒業。「言えないこと 見えるもの 彼女たちを通して絵にする」をテーマに、イラストやオリジナルテキスタイル等を制作。
2019年07月23日18歳という若さで中原中也賞を受賞した詩人の文月悠光さん。詩のみならず、今の世を生きる女性として、誰もが感じる“生きづらさ”や“孤独”を綴ったエッセイ集も話題です。このたび、そんな文月さんによる、12星座別「恋愛詩」の連載がスタート。毎月、月ごとの星座を主人公とした一篇を執筆していただきます。さらに、その詩をモチーフとしたコイズミリカさんの美しいイラストもお届け!切なくて愛おしくて胸がキュンとする…詩とイラストのコラボレーションをお楽しみください。■蟹座生まれのあなたへ真実の泉「選ばせてあげる」その泉から現れた女神は月夜に微笑みながら、木こりの誠実さを試すのだ。「あなたを救いたい。だから、わたしは問いかけるの。どの愛が本物でしょう?よく受けとめて、確かめるのよ」愛し抜くために欲しいのは、鋭い真実だけ。あなたは自らを裏切った。わたしの愛を手放した。嘘の輝きに目がくらんだのでしょう。不実な選択は最後の優しさだったのか。わたしの正義を憎んでほしい。たやすくゆるせてしまうくらいなら。たくみに水辺へ誘いだし、大切なものを落とすように仕向けたきたないわたしのことを、あなたはゆるしてはいけない。もういちど選ばせてあげる。わたしを泉の底から引き上げて遠く連れだすのよ。そして腕の中で叱るのです。かがやく銀の斧を握らせた、わたしの愛の実験をゆるすな。【次回は7月「獅子座の恋愛詩」】☆この連載をするにあたって占星術家・まついなつき先生に西洋占星術をレクチャーしていただきました。プロフィール文月悠光(ふづき・ゆみ)詩人。1991年北海道生まれ。16歳で現代詩手帖賞を受賞。高校3年の時に発表した第1詩集『適切な世界の適切ならざる私』(思潮社)で、中原中也賞、丸山豊記念現代詩賞を最年少で受賞。詩集に『屋根よりも深々と』(思潮社)、『わたしたちの猫』(ナナロク社)。近年は、エッセイ集『洗礼ダイアリー』(ポプラ社)、『臆病な詩人、街へ出る。』(立東舎)が若い世代を中心に話題に。NHK全国学校音楽コンクール課題曲の作詞、詩作の講座を開くなど広く活動中。コイズミリカイラストレーター。1989年生まれ。2012年 東京工芸大学デザイン学科卒業。「言えないこと 見えるもの 彼女たちを通して絵にする」をテーマに、イラストやオリジナルテキスタイル等を制作。
2019年06月22日18歳という若さで中原中也賞を受賞した詩人の文月悠光さん。詩のみならず、今の世を生きる女性として、誰もが感じる“生きづらさ”や“孤独”を綴ったエッセイ集も話題です。このたび、そんな文月さんによる、12星座別「恋愛詩」の連載がスタート。毎月、月ごとの星座を主人公とした一篇を執筆していただきます。さらに、その詩をモチーフとしたコイズミリカさんの美しいイラストもお届け!切なくて愛おしくて胸がキュンとする…詩とイラストのコラボレーションをお楽しみください。■双子座生まれのあなたへ視線の戯れ会議室を後にして廊下の壁に踊るわたしの影絵。壁際を器用についてきて、わたしよりも、わたしみたいだ。誰より軽やかなかたわれへひとり微笑みかける。今夜、タイムカードと引きかえに影絵のわたしに交替するの。飼い慣らせるものなら、飼い慣らしてごらん。まなざしは管理できない。きみを照らすためには光だけだと強すぎること、ちゃんと知っているから。ときには影となって忍び寄っていこう。この目にすべてを確かめさせて。わたしをきみから引き離してよ。きみは光の速さで抜き去って、わたしをもっと駆り立てるの。けれど彼方から振り返ること、忘れては厭。視線と視線で戯れたなら影は光に追いついて、ふたりの距離はゼロとなる。ただ激しく競うように見つめて恋の閃光に破れていく。【次回は6月「蟹座の恋愛詩」】☆この連載をするにあたって占星術家・まついなつき先生に西洋占星術をレクチャーしていただきました。プロフィール文月悠光(ふづき・ゆみ)詩人。1991年北海道生まれ。16歳で現代詩手帖賞を受賞。高校3年の時に発表した第1詩集『適切な世界の適切ならざる私』(思潮社)で、中原中也賞、丸山豊記念現代詩賞を最年少で受賞。詩集に『屋根よりも深々と』(思潮社)、『わたしたちの猫』(ナナロク社)。近年は、エッセイ集『洗礼ダイアリー』(ポプラ社)、『臆病な詩人、街へ出る。』(立東舎)が若い世代を中心に話題に。NHK全国学校音楽コンクール課題曲の作詞、詩作の講座を開くなど広く活動中。コイズミリカイラストレーター。1989年生まれ。2012年 東京工芸大学デザイン学科卒業。「言えないこと 見えるもの 彼女たちを通して絵にする」をテーマに、イラストやオリジナルテキスタイル等を制作。
2019年05月21日18歳という若さで中原中也賞を受賞した詩人の文月悠光さん。詩のみならず、今の世を生きる女性として、誰もが感じる“生きづらさ”や“孤独”を綴ったエッセイ集も話題です。このたび、そんな文月さんによる、12星座別「恋愛詩」の連載がスタート。毎月、月ごとの星座を主人公とした一篇を執筆していただきます。さらに、その詩をモチーフとしたコイズミリカさんの美しいイラストもお届け!切なくて愛おしくて胸がキュンとする…詩とイラストのコラボレーションをお楽しみください。■牡牛座生まれのあなたへ埋めるべき空白のためにきみの隣で眠れたら恋だと思う。二人で眠ると、あたたかいこと。手を握ると、溶け合えること。朝食にリンゴを剥いて食べるとき、爽やかな甘い果実は二人の子どもみたいであること。教えてあげたい。「彼女っぽく」とか「恋人らしく」とかわたしに求めるのは違うこと、とうに気づいてるでしょう?見つめ合えば、二人のあいだにある空白を否応なく意識する。口火を切って。埋めるべき空白のために、愛の言葉は存在するのだと。おいで、教えてあげる。きみの隣で目覚めたらわたし、きみの爪やきみの心臓を盗むと思う。体温さえ奪って、毛布のようなきみのなかに潜るのだ。きみの目は、わたしの目だよ。萌える新緑よ、見ていて。この恋を誰にも奪わせはしない。【次回は5月「双子座の恋愛詩」】☆この連載をするにあたって占星術家・まついなつき先生に西洋占星術をレクチャーしていただきました。プロフィール文月悠光(ふづき・ゆみ)詩人。1991年北海道生まれ。16歳で現代詩手帖賞を受賞。高校3年の時に発表した第1詩集『適切な世界の適切ならざる私』(思潮社)で、中原中也賞、丸山豊記念現代詩賞を最年少で受賞。詩集に『屋根よりも深々と』(思潮社)、『わたしたちの猫』(ナナロク社)。近年は、エッセイ集『洗礼ダイアリー』(ポプラ社)、『臆病な詩人、街へ出る。』(立東舎)が若い世代を中心に話題に。NHK全国学校音楽コンクール課題曲の作詞、詩作の講座を開くなど広く活動中。プロフィールコイズミリカイラストレーター。1989年生まれ。2012年 東京工芸大学デザイン学科卒業。「言えないこと 見えるもの 彼女たちを通して絵にする」をテーマに、イラストやオリジナルテキスタイル等を制作。
2019年04月21日18歳という若さで中原中也賞を受賞した詩人の文月悠光さん。詩のみならず、今の世を生きる女性として、誰もが感じる“生きづらさ”や“孤独”を綴ったエッセイ集も話題です。このたび、そんな文月さんによる、12星座別「恋愛詩」の連載がスタート。毎月、月ごとの星座を主人公とした一篇を執筆していただきます。さらに、その詩をモチーフとしたコイズミリカさんの美しいイラストもお届け!切なくて愛おしくて胸がキュンとする…詩とイラストのコラボレーションをお楽しみください。■牡羊座生まれのあなたへ火の鳥わたしを止めないでね。朝日ははじまりの合図。眩しいあなたを見つめていると、まぶたの裏が熱くなるから血が鼓動しているのがわかるの。心臓をかき鳴らして音階なんて飛び越えてはやく全身で震えたい。好きだと気づく前にからだが走り出していた。一瞬のときめきと熱狂がわたしにわたしを突破させる。飛び込む勇気をくれたのはあなたでしょう?今度はわたしが救いに行くわ。全力で駆けつけるから、こころの声で打ち返して。わたしを止めないでね。もう誰も、ほんとうにね。あなたに離れられたらどこへ走って行けるというの。火の鳥みたいな夕空、消させないわ。空を駆け巡って燃やし尽くしてあなたの恋人を生きたいんだ。【次回は4月「牡牛座の恋愛詩」】☆この連載をするにあたって占星術家・まついなつき先生に西洋占星術をレクチャーしていただきました。プロフィール文月悠光(ふづき・ゆみ)詩人。1991年北海道生まれ。16歳で現代詩手帖賞を受賞。高校3年の時に発表した第1詩集『適切な世界の適切ならざる私』(思潮社)で、中原中也賞、丸山豊記念現代詩賞を最年少で受賞。詩集に『屋根よりも深々と』(思潮社)、『わたしたちの猫』(ナナロク社)。近年は、エッセイ集『洗礼ダイアリー』(ポプラ社)、『臆病な詩人、街へ出る。』(立東舎)が若い世代を中心に話題に。NHK全国学校音楽コンクール課題曲の作詞、詩作の講座を開くなど広く活動中。プロフィールコイズミリカイラストレーター。1989年生まれ。2012年 東京工芸大学デザイン学科卒業。「言えないこと 見えるもの 彼女たちを通して絵にする」をテーマに、イラストやオリジナルテキスタイル等を制作。
2019年03月21日18歳という若さで中原中也賞を受賞した詩人の文月悠光さん。詩のみならず、今の世を生きる女性として、誰もが感じる“生きづらさ”や“孤独”を綴ったエッセイ集も話題です。このたび、そんな文月さんによる、12星座別「恋愛詩」の連載がスタート。毎月、月ごとの星座を主人公とした一篇を執筆していただきます。さらに、その詩をモチーフとしたコイズミリカさんの美しいイラストもお届け!切なくて愛おしくて胸がキュンとする…詩とイラストのコラボレーションをお楽しみください。■魚座生まれのあなたへ溺れる青さみしいとき、海は一体何に溺れるのだろう。たったひとり、こんなに波を奏でて。海は二つの「青」を差しだす。すべてを包み、守り抜く青と荒れ狂い、天を殴るような青。二つの青が争いながら鎖のように結びつき、濡れた静けさを鳴らしている。あなたをわたしの海へ突き落とす。呼吸できないほど深く、水底まで引き込んで肺の空気を捧げ合うのだ。溺れてごらん。あなたの鼓動も、瞳の色もわたしの片割れとなり果てるまで。まだ眠っている頬を夜明けの光でやさしく拭う。いつも、ぎりぎりのところであなたを生かしてしまう。わたしはまだ溺れていない。二つの青を隠し持つこの身に潮が満ちていく。【次回は3月「牡羊座の恋愛詩」】プロフィール文月悠光(ふづき・ゆみ)詩人。1991年北海道生まれ。16歳で現代詩手帖賞を受賞。高校3年の時に発表した第1詩集『適切な世界の適切ならざる私』(思潮社)で、中原中也賞、丸山豊記念現代詩賞を最年少で受賞。詩集に『屋根よりも深々と』(思潮社)、『わたしたちの猫』(ナナロク社)。近年は、エッセイ集『洗礼ダイアリー』(ポプラ社)、『臆病な詩人、街へ出る。』(立東舎)が若い世代を中心に話題に。NHK全国学校音楽コンクール課題曲の作詞、詩作の講座を開くなど広く活動中。プロフィールコイズミリカイラストレーター。1989年生まれ。2012年 東京工芸大学デザイン学科卒業。「言えないこと 見えるもの 彼女たちを通して絵にする」をテーマに、イラストやオリジナルテキスタイル等を制作。
2019年02月19日心に残る、「詩」があります。会話となる言葉とも違う、手紙とも、物語とも違う、「詩」に使われる言葉について、詩人・最果タヒさんがエッセイを書き下ろします。言葉という「暴力」と、付き合う。自分の気持ちを言葉にする、という行為は、自分への「暴力」でもあると思っています。言葉はそこまで、柔軟なものではない。いろんな人が、いろんな人生を生きて、見つけてきた感情がどれも同じはずはないのに、「好き」「嫌い」「ムカつく」「うれしい」、言葉にすればまるですべてが同じ形をしているみたい。本当は、その人の言葉でしか、その人の感情は表せない。本当は、新しい感情を語るためには、新しい言葉を探していかなくちゃいけない。けれど、そしたら伝わらなくなるから。「わからない」「意味不明」「わかるように喋って?」だから私は、「言葉にしてこそ、相手に伝わってこそ、自分の感情に意味があるんだ」と思い始めていた。学生時代。誰かと気持ちをシェアしたい、一緒に喜んだり、悲しんだりしたいって、時もあるし、だから必死で共感を求めた。けれど、それって本当に、思いのすべてを理解してもらわなくちゃ、できないことなんだろうか?何一つ伝わってないな、と思うことは多かった。話し方が下手なのか、コミュニケーション能力の問題か、教室で友達と話していても、私の言いたいことはほとんど伝わっていない、と思うことが多かった。友達の言いたいことも、たぶん私は理解できていない。でも、その場のノリとか、勢いとか、そういうものによって会話は流されて、一言一言を精査することなんてない。いや、そんなの誰ももう求めていないのだ。「あ、それいいよね」「わかる」「まじそう」そう繰り返していくことで、時間も一緒に流れていく。一緒に話していれば、一緒にいれば、それだけで湧く親しみというのがあって、たとえ友達の言いたいことがわかっていなくても、友達はそれでも私と一緒にいたいと思ってくれるし、私もそれでいいと思っていた。その場が盛り上がればいい、という会話の仕方は、中学から高校にかけて激しく、流行のもの、テレビ、音楽について話していれば大体のことはやりすごせていた。それぞれが違うことを言っていても、テーマがそこにあれば、まあなんとかなってしまう。部活動とか、先生とか授業のこともそう。何かを褒めたいとか、何かを貶けなしたいとか、大きな方向性が定まっていれば、それに従いつつ、みんな意外と好き勝手に話して、そうしてそのほとんどがスルーされていくんだ。「わかる」とか。そういう言葉が受け流していく。小説やドラマみたいに、セリフすべてに存在意義があるわけではない、と当時の私はよく考えていた。早口で言えば誰もが聞きもらすし(それでいて聞き返すようなこと誰もしないし)、ぱっと聞いておもしろくなかったら「ていうかさ」って違う話になったりする。言葉は使い捨てられていく。たぶん、ドラマとか漫画では、省略されてしまうやりとりだろう。きっと、物語など何もない私たち。そんな私たちの会話では、言葉がおざなりにされていく。「何を言うか」より「誰と話すか」のほうが大事で、「どう話すか」「どんなテンションで話すか」が大事で、だから相手の言葉を正確に拾おうとはしなくなる。親しい相手になればなるほど、そうだった。言葉は、そばにいることを知らせる、定時連絡みたいなものだ。それでも一つだけルールがある。「わけのわからないことを言って、場を凍らせるな」一緒にいるだけで、なんか話しているだけでOKの場。それを壊すな。だってこれこそが平穏だから。場のために、私たちは言葉を選ぶ。わかりやすいように、伝わりやすいように言葉を選ぶけれど、相手に自分を理解してほしいからそうしているのではないのかもしれない。誰ももう、理解しようとしてなくて、だからこそ、「なにそれ?」ってなるようなこと、言ってはいけない。「わかる」っていうのは、流してしまってOKってこと。そうやってさらさら通りのいい会話をして、時間をやりすごしたい。別に、悪いことではなくて、そういう退屈だってあっていいとは思うのだ。けれど、私は耐えられなかった。自分の気持ちをそぎ落として、わかりやすい言葉に無理やり、あてはめて、そうしてだんだん、私は何かを捨ててきてしまっているのでは、と思い始めた。「わかる」と言われたらほっとする。みんなも自分もくつろいでいる空間は、私だって、壊したくない。けれど、語る言葉が「建前」であろうとも、声にするたび、そっちのほうが「本当」であったように感じてしまう。自分が本当はどう思っていたのか。誰とも話さず、言葉にせずにいたら、だんだん忘れてしまうんだ。最適化されていく。みんなにわかるように話すことで、みんなの知っている言葉を使うことで、その言葉に合わせるように自分という人間も、最適化されていく。みんなに「わかりやすい」人間になる。場を壊さない人間になる。でも、それだけだ。場の要素でしかない私。ここに自分がいたっていなくたって、同じだと思った。誰にだって共感される人間なんて、すべてが「わかって」もらえる人間なんて、そこにいる意味がないとも思った。全く別の家で、全く別の人生を生きてきて、わかるはずなんてないのに。「わからなさ」にこそ自分があると、思うのに。それなのにそれらすべてを捨ててしまっている気がした。「わかる」と言ってもらいたいがために。でも私は、やっぱり人は、「わからないけれど、でも、なんか好きだよ」「なんか嫌いだよ」、そういう感情でつながっていくものだと思った。だから、きっと、話し言葉以外の「言葉」を探し始めたのだろう。中学生だった頃、私はインターネットで日記を書き始めていた。友達にはまだネットに詳しい子がそんなにはいなかったけれど、でも、ネットにはすでにたくさんのWEB日記が存在していて、そこでは現実の人付き合いなんて、全く関係ないみたいだった。また、個人の書いた言葉、というものは、耳で聞く言葉と大きく違って見えたのだ。言葉より優先される「場」がないから、言葉が、話し言葉よりもずっと、ごろっと目の前に現れている。ノリで流すことができない。スルーができない。わからない言葉は、わからない言葉のまま存在感を発揮し、私はそれが羨ましかった。「わからなくてもいい」と思って言葉を書けることが魅力的だった。とりとめもない思考回路。それを、ただ言葉にしてぶつけていった。友達に話しても「は?意味不明」と言われるようなもの。だけれど言葉と体が結びついて、言葉を書くことが、体をぎゅっと丸めたり、思いっきり走ったりすることと同じように感じられた。次の瞬間に自分が何を書こうとしているのか、わからない。理性とか、そんなものを置き去りにして、私の感情が言葉を選び、そのうち、感情すら置き去りにして言葉が暴走していく。感情というより、反射神経で言葉を書いている感じだった。わかりやすい言葉ではなかったけれど、その言葉の手触りにこそ、自分というものが存在している気がしていた。次第にそれを読みたがる人が現れて、「書く言葉」だからこそ、受け入れられる「わからなさ」があるのかな、なんてことを思った。話す間はどうしても、相手の顔が目の前にあり、周りには空間があり、空気があり、それまでの雰囲気を崩さないように、言葉を選ぶ。言葉より場が優先されてしまうのは、「コミュニケーション」としては当たり前のことなのかもしれない。けれど、書いた言葉は、ネットの海にある言葉は、どうだったのだろう。当時の、個人サイトが点在しているようなインターネットでは、まだ言葉はどれもがひとりごとで、コミュニケーションを前提とはしていなかった。「わかってもらう」なんてこと、考えなくてよかったんだ。だって、相手の顔は見えないし、互いがどういう環境でそれを書いているのか、読んでいるのかも知ることができない。言葉の手触りだけが生々しく、やってくる。そこにしか、「人」の気配がなかったんじゃないだろうか。よく知らない相手なのに、同じ言葉を話している。けれど、あきらかに、自分とは違う言葉選びを相手はしていて、相手の背景にあるものは何一つ見えないのに、その「異物感」に相手の生きてきた痕跡を感じる。言葉のすべてがわからなくても、言いたいことがなんなのかわからなくても、その「異物感」にときどき、ぐっときたり、むしろ嫌悪感を抱いたりする。言葉が「人」を伝える瞬間だと思った。「わからなさ」に「人」が宿る瞬間だと思った。そういう言葉を、私はずっと書きたいと、思っていたんだ。ネットに書いていた言葉には、次第に読者が現れて、そうしてそれを「詩みたい」と言う人がいたことで、私は「詩」を発表するようになった。これが、私が詩人になったきっかけだったと思う。詩は、私にとって、「わからなさ」に宿るものです。わかってもらいたい、という感情を抱いた途端、その言葉は詩ではなくなる、と思っています。読んで、その詩を「好きだ」と言ってくれる人も、それぞれが違う解釈をしていたりする。彼らがどう読むかなんて私にはコントロールできないし、それでも、届くものがある、ということが私にとっては大切だった。読み手と書き手が、完全にわかりあう必要などないのだろう。わからないけれど、でも、だからこそ強く残る手触りがあり、それこそが「詩」なのかもしれなかった。それぞれが、自分自身の中にあるものを、そこから思い出すのではないか。共感や、わかってもらう、ということを追いかけて、忘れ始めていた自分の「本当」が、奥にまだ眠っていることを思い起こすのではないか。もしかしたら。そんなことを、最近は、考えています。実際のところはわからない。わからなくて、いいと思う。ただ、私が書いた「わからなさ」が作品として、誰かに届いていくとき、私は、書いていてよかった、と思う。こんなことがあるんだ、といつも驚かされている。こんな瞬間があるなら、いつまでも、いくらでも、書いていけると、そのたびに、思う。さいはて・たひ詩人。中原中也賞・現代詩花椿賞などを受賞。著書に詩集『天国と、とてつもない暇』(小学館)、エッセイ『百人一首という感情』(リトル・モア)ほか。※『anan』2019年2月13日号より。文・最果タヒ©mheim3011(by anan編集部)
2019年02月12日