新国立劇場が放つ、こどもも楽しめるバレエ『人魚姫』。米沢唯、速水渉悟、奥村康祐が世界初演への思いを明かす
という思いが一瞬よぎるけれど、素敵な女性だなと感じて一緒に踊り、惹かれ合うようになります。
米沢王子役でとくに難しいのは、既に決められていた婚約者と人魚姫との間で揺れる気持ち、その表現ではないでしょうか。
速水婚約者との結婚式はもう決められている。王子がノーと言ったらノーにできるようなことではない──。皆さんと相談しながら作っている段階ですね。
米沢第2幕には、恋にやぶれ海の泡となる人魚姫が、最後に思い出す記憶の中の王子と踊るパ・ド・ドゥがあります。速水くんはそのパ・ド・ドゥが大好きなんですよね。
速水音楽がとても素敵で──。
米沢「タイスの瞑想曲」です。私も踊っていて楽しいです。『人魚姫』は、貝川さんが「NBJ Choreographic Group」(新国立劇場バレエ団の中から振付家を育てるプロジェクト)でこのパ・ド・ドゥを発表したことから始まった企画。この部分の振付自体は既に出来上がっていましたが、私たちが踊ることで変わっていった部分はたくさんあります。
速水走馬灯のような──死ぬ直前に、人生の楽しい思い出だけを思い返すようなパ・ド・ドゥです。彼女が思い描く、理想の王子像を作っていかなければ。