土井監督・有村架純が語る“忘れられない恋”「麦と絹、ふたりと一緒に生きているような感覚でした」
「料理に例えると、そこにスパイスや砂糖を足していくような演出ではなくて、ひたすら水加減と火加減を注意して見続けるような作業なんです。もちろん、素材の良さはあるので、どう料理してもそれなりに美味しくはなると思うのですが、火加減を間違えてしまうと、まったく違う味になってしまう感じがする」
絹を演じる上で不安になった瞬間がありました
そこで土井監督とスタッフたちは、管田演じる山音麦と有村演じる八谷絹の生活を、その状況において最高の距離で見つめ続ける。2015年の冬、大学生の麦と絹は東京の京王線明大前駅でともに終電を逃したことで偶然に出会った。ふたりはなりゆきで共にカフェに行き、話をするようになり、お互いが驚くほど共通点があることに気づく。同じスニーカーを履き、好きな作家が一緒で、どちらも絡まったイヤフォンコードに困っている。ふたりは急速に距離を縮め、やがて付き合い始める。
「映画の冒頭の麦と絹が出会って、盛り上がっているところは演じていて楽しかったんですけど、ずっとフワフワと浮ついていて、地に足が着いてないような感覚だった」と振り返る有村は「もしかして、絹を演じる上でなにか間違っているのかもしれないって不安になった瞬間があったんです」