くらし情報『長塚圭史「どんな悲惨でも生きる人間のポジティブな底力を感じて」 初ミュージカルに挑んだ『夜の女たち』9月上演へ』

2022年4月1日 12:00

長塚圭史「どんな悲惨でも生きる人間のポジティブな底力を感じて」 初ミュージカルに挑んだ『夜の女たち』9月上演へ

占領下。敗戦で一夜にして日本の価値観が真っ逆さまになった時代です。呆然とするもの、戦争孤児、身寄りが誰ひとりいなくなって生きる術がなくなったもの、自暴自棄になるものもいます。そういう中で連合軍、特に圧倒的多数だったアメリカ兵、いわゆる進駐軍が押し寄せてきます。禁止されていた音楽がなだれ込んでくる。敵性音楽が自由の象徴として聞こえてくる。それは、目を背けたくなるような貧困や孤独、欺瞞や憤りと矛盾に溢れた時代であると同時に、人間の権利が改めて問われる時代の始まりでもありました。

戦後急増したパンパンと呼ばれた街娼は、社会現象として捉えられました。
しかしこれは貧困からのみ生じただけではなかったと言われています。全体主義と封建制度から突然解放された自由の中、女性たちがその権利を掴み始めた時、あらぬ方向へ膨張して弾けた現象でもあったのではないでしょうか。

今、また再び世界は戦時下におかれました。壊れゆく街をまざまざと目にするたびに、人間の恐ろしさを痛感します。未だにやめられずにいるのです。忘れてはいけない、知らなくてはいけないという思いで立ち上げるこの作品が、なぜ今我々はここにこうしてあるのかという近代を冷静に見つめる一助となると同時に、どんな悲惨の中でも生きていく人間のポジティブな底力を感じていただけたらと思います。

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