2023年2月27日 18:00
本谷有希子、『掃除機』日本初演で演出家として新たなチャレンジ 「物事の捉え方が“なんとなく変わったような”気持ちになるお芝居にできたら」
チェルフィッチュ主宰の岡田利規が2019年にドイツの公立劇場ミュンヘン・カンマーシュピーレ劇場のために書き下ろし、自ら演出した『The Vacuum Cleaner』が『掃除機』としてKAAT神奈川芸術劇場にて日本語で日本で初めて上演される。
高齢になった親が、引きこもりの子どもたちの面倒を見る“8050問題”と呼ばれる社会問題を扱った本作の演出を務めるのは本谷有希子。本谷にとっては他人が執筆した戯曲を演出するのは今回が初めての試みとなる。独特の言葉の面白さを持つ岡田の戯曲の世界を本谷はどのように舞台上に構築するのか? 初日を前に話を聞いた。
ドラマ要素が排された岡田利規の戯曲
「なんで私なんだろう?」――。2020年にオファーが届いた際の本谷の偽らざる思いである。これまで本谷が舞台化してきたのは一貫して自ら執筆した戯曲か小説。それでも、岡田の戯曲を演出することを決めたのはなぜか?
「岡田さんの戯曲って私の戯曲の作り方と、本当に全く違うんですよね。
例えばドラマの在り方。私は自分の芝居をドラマとして作ってきた時間がすごく長いけど、岡田さんの戯曲はドラマ要素が極力削られている。年々、私は自分の作劇法に不自由さを覚えていたこともあって、近年は自分の小説を舞台にしたりもしてたんですが、自分以外の人が書いた戯曲、しかもドラマ要素が排されたものを演出することに単純に興味が湧きました。