2022年10月18日 18:00
『大蒔絵展―漆と金の千年物語』三井記念美術館で開催中 1000年以上におよぶ蒔絵文化の全貌に迫る
平安時代から現代まで、国宝を含め各時代を代表する蒔絵の名品を惜しみなく紹介する展覧会『大蒔絵展―漆と金の千年物語』が三井記念美術館で開催されている。静岡県熱海市のMOA美術館、愛知県名古屋市の徳川美術館の3館による共同企画だ。
蒔絵とは、漆で絵を描き、金粉や銀粉などを蒔きつけて文様を表したもの。蒔絵が生まれた平安時代より現代に至るまで、1000年以上の間、人々に愛され作り続けられてきた。同展は三井記念美術館と、先に開催したMOA美術館、来年の開催を予定している徳川美術館の3館が共同で開催するもの。3つの会場で国宝が25件、重要文化財51件を含む合計188件を展示し、蒔絵の全貌に迫っていく。
また、各会場ごとに展示内容が異なっているのも特徴だ。三井記念美術館では国宝7件、重文32件を含む計127件が展示される(途中、展示替えあり)。
展示風景より
同展は年代順に8章で構成されている。第1章「源氏物語絵巻と王朝の美」では、貴族文化が爛熟し日本独自の美の規範が生まれた平安時代の蒔絵、特に日本独自の蒔絵調度が完成を見せた平安後期の文化をひもとく。国宝《源氏物語絵巻》には蒔絵の調度類が登場しており、また重要美術品《石山切》のように、金銀を用いた美麗な料紙装飾には、蒔絵の意匠との共通点を見出すことができる。