森田剛の思う“言葉の信用性”「本心は目と言葉に出る」
それを受け取る人がいる。怖さしかないですよね。和田さんの心境はもちろん、それを聞いている人たちのことも想像しながら演じていました」
役との巡り合わせは、俳優としての運にも関わる。どの作品に携わり、どんな役に恵まれるかは「自分ではコントロールできないところ」としつつも、演出の一木正恵の計らいによって和田信賢を演じられたことに、森田は感謝の言葉を繰り返した。
「いまの僕を見て、和田信賢を演じられる、と思ってくれたこと。それを信じてくれたこと。さまざまな幸運が重なって、この作品に参加できたと思っています」
出陣学徒壮行会の実況シーンに込めた思い
和田信賢が出陣学徒壮行会を実況するシーンは、『アナウンサーたちの戦争』を語るうえで外せない場面のひとつだ。森田自身も「忘れられない、思い出がたくさん詰まったシーンです」と振り返る。
「学徒出陣は、学生たちと本音のやり取りをしたあとの出来事でした。だからこそ、自然と和田さんに近い気持ちになって、撮影に臨めたシーンだったと思います。僕自身は、もっと遠くから撮るシーンだと思っていたんですが、実際には学生たちがすごく近くにいました。普通なら、大きく声を張り上げれば学生たちに届くような距離に和田はいたけれど、でも、必死に叫んでも届くことはないという気にさせられました」