2021年8月27日 07:00
『近松心中物語』で対照的な女性を演じる笹本玲奈×石橋静河。いずれも今の誰かに重なるかも!? 『近松心中物語』キャストインタビュー【後編:梅川&お亀】
石橋お亀はいつもわちゃわちゃいろんなことをしゃべっていてにぎやかで、怒ったり泣いたり忙しいんですけど、梅川さんはいろんなことを内に秘めているというか、静かで奥ゆかしくて抑制されていて。そしてそれが、弱さになっていない感じがするんです。忠兵衛よりも腹が据わっているような強さを感じますし、同時に、思いやりや品も感じられて。玲奈さんが演じられると、梅川が持っているものがよく見えてくるなと思っています。
笹本ただ、実は私は、梅川の生き方や考え方が、なかなか理解しづらいなと思っているんです。当時は女性が男性の後ろに一歩引いているのが当たり前で、それが美しいとされていた時代だったと思うんですけど、今は違います。梅川みたいな奥ゆかしくて健気なこと、男性に対してのみならず、とても言えないなと本当に感心してしまうんですよね(笑)。でも、遊郭でも禿や自分の仲間に対して深い思いやりがあって、貧しい家庭で育って7つのときに身を売られてしまうけれども、家族とはいい関係だったんだろうなっていうことは、一つひとつのセリフから想像できるんです。
だから、忠兵衛という愛する人のことを一番に考えるという姿は、人として素敵だなというふうには思っています。