白鸚と幸四郎の弁慶親子共演、仁左衛門と玉三郎の「清玄桜姫」ほか歌舞伎座『四月大歌舞伎』の見どころ
第三部は『桜姫東文章』上の巻。『東海道四谷怪談』で知られる四世鶴屋南北の作。建長寺の僧と稚児が心中し、僧ひとりが生き残ってしまうが、稚児は吉田家の息女・桜姫に生まれ変わる。新清水の清玄となった僧が桜姫に再会することからドラマは始まる。剃髪しようとする姫の前に、姫と子までなした男・釣鐘権助が現れ……。大家のお姫様である桜姫が伝法な言葉遣いと姫言葉をない交ぜにする奇抜な趣向や、南北得意の生世話の手法を生かした文化文政時代の歌舞伎の代表作だ。
清玄・釣鐘権助に片岡仁左衛門、白菊丸・桜姫に坂東玉三郎。1980年代の清玄桜姫といえば孝玉コンビ。
このふたりの顔合わせに、歌舞伎ファン以外にも大勢が熱狂したものだ。2021年の春、ふたりの清玄桜姫に会いに行こう。
文:五十川晶子
公演情報
歌舞伎座『四月大歌舞伎』
演目
【第一部】11:00開演
一、『猿翁十種の内小鍛冶』
二、『歌舞伎十八番の内 勧進帳』
【第二部】14:45開演
一、『絵本太功記尼ヶ崎閑居の場』
二、『団子売』
【第三部】18:00開演
『桜姫東文章』上の巻
2021年4月3日(土)~4月28日(水)
会場:東京・歌舞伎座