藤田嗣治が旅によって得たインスピレーションを追う 展示「フジタ―色彩への旅」4月17日よりポーラ美術館で開催
またポーラ美術館は2019から2020年度に「乳白色の肌」の手法による2点の油彩画(『坐る女』、『イヴォンヌ・ド・ブレモン・ダルスの肖像』)と、連作「小さな職人たち」の中の1点である『猫のペンション』を新たに収蔵。特に1921年制作の『坐る女』は「乳白色の肌」を編み出して間もない頃の肖像画であり、滑らかな絵肌と墨による繊細な輪郭線、柔らかなぼかしによって素朴な雰囲気の漂う作品だ。1922年のサロン・デ・ザンデパンダン展に出品された可能性の高い、フジタの初期の代表的な作品の1点である。
連作「小さな職人たち」は、フジタが戦後パリで暮らしたアパルトマンの壁を飾るために制作した色彩豊かな壁画だ。15センチメートル四方の各パネルには、かわいらしい子どもたちが古き良きパリの職業人たちに扮する主題などが油彩で描かれている。フジタは手仕事に打ち込む名もなき職人(アルティザン)たちの姿に自らを重ねていたのだった。ポーラ美術館では、115点ほど飾られていたパネルのうちの96点を収蔵。今回の展示では、この作品群を一挙公開する。
さらにフジタは訪れた旅先で、しばしばそれらをファインダー越しにとらえてきた。