人間たちの“生”への希求を描き出す4篇の物語 『デカローグ』最終章が上演中
本来、手紙を送るために存在し、表に書かれた数字の価値しか持たないはずの切手に執着し、翻弄される人間たちの欲深さを軽妙に描きつつ、やはりこうした愚かさもまた人間の持つ一面であると教えてくれる。
ちなみに、各エピソードで登場人物たちが人生の岐路に立ったタイミングで姿を現す、亀田佳明が演じる謎の“男”は当然、この『デカローグ7~10』でも登場する。シチュエーションや出で立ちも気になるところだが、あるエピソードでは原作のTVシリーズにもない驚きの行動を見せるシーンも……。
愚かで、時に欲望に負け、過ちを犯す人間たちの“生”への希求を描き出す4篇の物語を堪能してほしい。
『デカローグ 7~10』の公演は、東京・新国立劇場 小劇場にて7月15日(月・祝)まで。
文:黒豆直樹撮影:宮川舞子
<公演情報>
『デカローグ7~10(プログラムD&E 交互上演)』
原作:クシシュトフ・キェシロフスキ/クシシュトフ・ピェシェヴィチ
翻訳:久山宏一
上演台本:須貝英
演出:小川絵梨子/上村聡史
【プログラム D】
デカローグ7「ある告白に関する物語」
出演:吉田美月喜章平津田真澄
大滝寛田中穂先堀元宗一朗笹野美由紀伊海実紗安田世理・三井絢月(交互出演)