『究極のゴルトベルク』と題されたコンサートが12月初頭に東京と大阪で開催される。
第1部には世界でもっとも熱い注目を集めるアイスランド出身のピアニスト、ヴィキングル・オラフソン、第2部にはバッハをライフワークに独自の世界を切り拓いてきた清水靖晃(サキソフォン奏者、作曲家、音楽プロデューサー)率いるサキソフォネッツが登場し、それぞれバッハの《ゴルトベルク変奏曲》全曲を演奏するという企画。この前代未聞のコンサートについて、清水に話を聞いた。
◆バッハ、サキソフォン、スペースの三角関係
――清水靖晃&サキソフォネッツのアルバム『ゴルトベルク・ヴァリエーションズ』がリリースされたのが2015年。5本のサキソフォンと4本のコントラバスによる異次元のバッハは衝撃的でした。このアルバムが生まれた経緯について、お聞かせいただけますか。
もともと「サキソフォネッツ」は、1983年に僕がひとりではじめたソロ・プロジェクトでした。バッハに取り組んだのは1990年代後半、《無伴奏チェロ組曲》をテナーサキソフォンのために編曲・演奏したのがはじまり。
「バッハ、サキソフォン、スペース(空間)の三角関係」というコンセプトで、崇高なバッハの音楽と、世俗の楽器であるサキソフォンを、残響の長い空間で掛け合わせたら面白いのではないかと思ってね。