藤ヶ谷太輔と奈緒がW主演『傲慢と善良』──マッチングアプリで出会い、結婚寸前のカップルに起こったこと……【おとなの映画ガイド】
監督は、絵画に魅せられた学生を描く『ブルーピリオド』を8月に公開したばかりの萩原健太郎。脚本はドラマ『最愛』など、数々の名作を手掛けてきた清水友佳子。舞台となる場所や展開に原作と多少異なるところがあるが、「小説と形が違っても原作通りと思える、練りに練られた珠玉のラストシーン」と著者・辻村深月も太鼓判を押すできのよさという。冒頭、善良さの象徴のように使われる白いバラや、性格がにじみ出るインテリア、SNSなどが効果的に使われている。
藤ヶ谷太輔は『そして僕は途方に暮れる』でも「人間の隠れた弱さ」を繊細に演じきった俳優力の持ち主。さらに並々ならぬ原作へのリスペクトもあってか、びっくりするほどハマっている。奈緒については、言わずもがな。あの笑顔だけで、ストーリーの行間を語れる役者だ。なによりも、フツーに近所にいそうなふたりなのがいい。
架の友人役で桜庭ななみ、災害ボランティア役の倉悠貴。他に、真実の支配的な母親役として宮崎美子、飲み屋のママ役に西田尚美、結婚相談所の所長役を演じる前田美波里など、実力のある俳優がキャスティングされている。
前田が演じる結婚相談所所長のセリフが印象的だ。